4.親分の交代は起きるのか
中国の課題は、親分の命令、指導で解決する。新型コロナの対応も、習近平総書記が「○日までに感染者をゼロにする」と宣言し、ゼロになった。習近平総書記のご威光はウイルスにも通じる。
現在の経済問題についても、習近平総書記は次々と指導している。海外企業に対しては、中国の将来を悲観せずに投資を続けるように指導したし、中国人民に対しては、自動車や家電製品を新しく買い換えるように指導した。不動産企業倒産の危機に対して、銀行は不動産企業に融資するようにと指導している。
日本は組織とルールで動く国なので、法的整備、予算措置がなければ何も動かない。首相が指導しても、それだけでは課題は改善しない。
日本の常識では、習近平総書記の指導は何の意味もない。経済や金融は国家指導者の命令では動かない。人民の所得が増えなければ需要も増えないし、国内消費が上がることはない。政府の収入が減ったからといって、人民から更に搾取したのでは、経済は更に悪化する。
それでも選挙がないので、習近平総書記の立場は安泰だ。中国の原理では、国民生活より親分の立場が優先される。今後も更なる弾圧や搾取が続くだろう。
中国の皇帝が交代するのは、民衆が決起し、新たな親分が生れる時である。中国の指導者交代は、力と力のぶつかり合いから生れる。そして、指導者が交代したとしても、政治体制や経済が改善されるという保証はない。
日本の常識では、中国の経済低迷は長期化すると思うのだが、現実はどのように動いていくのだろうか。今後も目を離せない。
編集後記「締めの都々逸」
「親分子分の盃なけりゃ 仕事もお金も 出てこない」
中国のニュースを聞くたびに、日本人で良かったと思います。中国人は可哀相だなとも思います。
私は中国政府と中国人は別であると考えています。米国政府と同じ立場です。中国人は中国政府の被害者です。
日本では、中国政府と中国人を同一視して、中国人は悪い人だと思っている人も少なくありません。それは問題です。
私は、中国人が嫌いではありません。友人も知人も大勢います。しかし、中国政府は嫌いです。日本政府が中国政府の影響を受けて欲しくないし、中国政府からお金を受けとっている政治家は許せません。そこんとこ、よろしく。(坂口昌章)
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