3.持続可能性とシェアリング
中小零細企業にとって、重要なのは国内市場であり、地元の市場である。まず、地元の顧客に支持されるような商品、サービスを考える。それが地方の人に受けるかもしれないし、海外の人に受けるかもしれない。しかし、重要なことは地元の人に愛されることだ。地元の人に愛される商品、サービスを考えるには、地元で暮らしている自分自身の心に問いかけることだ。
日本が世界に愛されているのならば、日本人のセンスや発想は世界に受けいれられるだろう。そういう意味で、我々は良い時代に生きている。
小さな経済圏で活躍するのは、多くの中小零細企業である。会社単位でみれば、生産性は低いが、その分、雇用は守られる。地域単位で考えると、競争の原理で一社だけが勝ち残っても意味はない。むしろ、多くの企業が共存し、多くの雇用を生み出し、安定した生活を提供することが大切だ。企業の利益を上げることではなく、社員の生活を優先するという考え方だ。そもそも株主の利益を優先することは、外国人投資家の利益を優先することに他ならない。
地域社会に必要なことは、持続可能性であり、利益をシェアする仕組みである。資本家のためではなく、地域住民のための経済。それをどのように構築するかが問われているのだ。
4.地域を独立国と考える
グローバリズムでは、国境なんて意味がないという。世界は一つと考える。固有の国や民族、宗教の文化も必要ない。それらは、分断を生み出すだけだと。したがって、グローバリズムにとって、アイデンティティは邪魔なだけだ。
グローバリズムを追求すると、無宗教の全体主義国家に近づいていく。世界政府による計画経済。個人の自由は認めずに統制を強める国家。個人的にはそんな国家に住みたくない。むしろ、国家のアイデンティティを重視したいと思う。
国の文化や歴史を守り、その国らしさを失わないようにすること。国境は大切であり、不法移民を無条件に受けいれるべきではない。
例えば、各市町村を独立国と考える。その国は、どんな憲法が必要なのか。どんな産業が、どんな外交が必要なのかを考える。
完全な自給自足ができないならば、外国との貿易は不可欠だ。その場合、何をもってして外貨を稼ぐのか。
この発想は、江戸時代の幕藩体制に似ている。各藩は名産品を開発し、外貨を稼いだ。そして、藩の中で独自の祭や市を開き、人を集めた。
ローカルビジネスを考える時、江戸時代の幕藩体制は良いモデルになる。現在まで伝わる名産品にはどんな歴史と背景があるのか調べ、現代に応用するのも良いと思う。
編集後記「締めの都々逸」
「自分の心に問いかけながら 周囲に幸せ 広げたい」
一人勝ちって駄目なんだと思います。日本経済が一人勝ちしてたら、円高に誘導されました。冬季五輪のスキージャンプで日本が一人勝ちした時もスキー板の基準が変更されました。一人勝ちするとルールが変更されるのです。
中国も日本と同じ経験をしています。中国経済が一人勝ちになると、米国は関税を掛けました。現在はEUもEV輸入関税を検討しています。
独占が許されるのは、米国だけです。米国の軍事力と金融力が背景にあってこそ、独占が認められるのです。ですから、日本や中国が独占すると必ず規制を受けます。
競争は市場やビジネスを活性化するために許されているのであり、特定の国や企業が独占するためではないのです。
ですから、目立たぬようにはしゃがぬように似合わぬことは無理をせず時代遅れが丁度いいのでしょう。(坂口昌章)
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