デフレに襲われ経済は衰退。「消費者利益の保護」名目のグローバリズムに潰された日本

Sapporo,,Hokkaido,,Japan,-,11,Feb,2020,:,View,Of
 

1990年代から盛んに重要性が叫ばれはじめ、世界中で信奉され続けてきたグローバリズム。しかし日本にもたらされたのは、望んでいたものとはほど遠い結果だったことは誰の目から見ても明らかです。なぜこのような状況となってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、グローバリズムが日本経済を衰退させた要因を解説。さらにこの先我が国が進むべき道を考察しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:小さな経済圏で格差解消

グローバリズムは日本を弱体化させるための戦略。小さな経済圏で格差解消を

1.グローバリズムの損得勘定

世界は一つの巨大な市場である。世界規模で最も効率的なサプライチェーンを構築すれば、価格競争力を獲得し、市場シェアを高めることができる。それにより、巨大な売上と利益が確保できる。これがグローバリズムだ。

国内でも同様のことが起きた。大型スーパーの出店は、地元の商店街の小規模小売業を淘汰した。大型スーパーはスケールメリットにより、価格競争力を身につけ、市場シェアを高め、巨大な利益を確保したのだ。

地元の商店街を保護するには、大型スーパーの出店を規制しなければならない。国内製造業を保護するには、輸入を規制しなければならない。しかし、貿易の自由化、資本の自由化は消費者利益を守る良いことだと言われた。しかし、消費者は労働者でもあり、企業の経営者でもある。輸入品との価格競争に負けて、倒産すれば失業するし、低価格商品と競争するには、コストカットが必要になる。その結果、消費者の可処分所得は減少するのだ。消費者利益の保護といっても、消費者の所得が減少したのでは意味がない。

消費者利益の保護という大義名分の元に行われたグローバリズムは、結果的にデフレを招き、日本の経済を衰退させ、消費も減退したのである。

グローバリズムで得をしたのは、中国とウォール街と商社だ。少なくとも大多数の日本企業、日本人にはマイナスだった。

現在、中国経済が衰退し、ウォール街もショックを受けている。生産拠点は分散し、その一部は日本にも回帰した。それだけで、日本経済は明るい兆しが見えてきた。中国経済と日本経済は相反する関係なのだ。

勿論、その中でも利益を上げた日本企業もある。中国生産、中国市場、日中貿易で利益を上げた企業だ。中国生産した商品を中国市場で販売するビジネスモデルは最強だった。トヨタやユニクロがその代表だ。

グローバリズムは、ごく少数の商社と圧倒的多数の敗者を生み出す。つまり、経済格差が拡大するのだ。

2.新たなグローバリズと日本の魅力

今後も、グローバルビジネスが消えることはない。中国生産が東南アジア生産、インド生産に移行するだけだ。

しかし、一部の製造業が国内回帰し、インバウンドの観光客が増えたことで、多少なりとも国内製造業も国内消費も拡大するに違いない。

国内の多くの中小零細企業は、国内市場向けのビジネスを行っている。幸いにも日本の国内市場はそれなりの規模がある。

しかも、中国政府が日本に圧力を掛けていることもあり、国民の対中感情も悪化している。できれば、国産商品だけで成果したいと考える消費者は少なくない。対中感情の悪化は日本だけではない。世界中が中国の高圧的な態度に呆れている。

逆に、世界の対日感情は良くなっている。日本の歴史、文化、自然、日本人の礼儀正しさや優しさは世界中で評価されてる。日本製の製品についても、デザイン、性能、品質が良いという評価が定着している。

円安の為替も国内製造業者には有利だ。インバウンドの観光客だけでなく、輸出の可能性も高まっている。しかし、輸出向けの商品を作るのではなく、日本国内のビジネスの延長に個人向け輸出を加えるという発想が良いだろう。

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