「萩生田光一のアイデア」と「森喜朗の悪だくみ」
安倍派の総理候補とされた3人のうち、世耕氏は党外に去り、西村康稔氏は党員資格を1年限定ながら失った。萩生田光一氏(前政調会長)だけは、どういうわけか、ほぼ無傷で残ったが、2018年から5年間の収支報告書不記載額が計2728万円にのぼる正真正銘の“裏金議員”である。
そのうえ、岸田首相は「役職停止の対象は党本部だけ」として、萩生田氏が東京都連会長にとどまることまで容認した。そこで都連は5月15日、延期していた役員選考委員会を開き、萩生田会長を再任することを決定した。
都連会長が、都知事や国会議員の候補者を選定するうえでも影響力のあるポストなのは言うまでもない。
月刊「文藝春秋」6月号に掲載されたインタビューで森喜朗元首相が語ったところによると、派閥を守るため、塩谷氏に裏金問題の責任をとってもらうアイデアを森氏に持ち込んだのは、ほかでもない萩生田氏だった。今年初めのことだ。
「誰かが罪をかぶり、総理の判断を願い出るようにすればいい」と知恵をつけた人が党内にいたそうです。それで五人衆が相談し、座長の塩谷君にその役を担ってもらおう、となった。五人衆の総意として、塩谷君の説得を「森先生に頼むしかない」となったようです。萩生田君から「こんなことを先生にお願いするのも変だけれど、ここは塩谷先生が引き受けてくれたらありがたい、というのが皆の意見です」と連絡をもらいました。
森氏は「それも一理ある」と思い、塩谷氏を自分の事務所に呼んだという。
「君はこの前の選挙でも苦労しただろう。もともと君は一回目の選挙から苦しんで、(塩谷氏の選挙区にある)スズキの(鈴木修)社長に怒られては、俺があいだに入ってとりなしてきたのは覚えているでしょう。だから、ここは一つ、どうだね」。そう説得を試みました。(中略)「ここはいったん議員辞職して次をねらったらどうかね。・・・」
全責任を取るので仲間を救ってください、と岸田首相に申し出て、議員辞職をしたら「立派だ」と株が上がって、次の選挙に有利になるという提案だ。
選挙に弱いあんたのために散々骨を折ったのだから、ここは俺の言うことを聞けという押しつけがましさも森氏らしい。









