岸田首相も森喜朗には頭が上がらず
岸田首相は4月上旬に森氏に電話して、裏金作りへの関与について聴取したと言っているが、森氏はそのような話は出なかったと証言している。
それどころか、森氏は以前からこの件について岸田首相と電話で話していたことも明らかにしている。
そこで想像できるのは、岸田首相が安倍派幹部の処分内容を判断するにあたって、森氏の意見を聞いていたのではないかということだ。
岸田首相が裏金問題に乗じて安倍派の弱体化をはかったのは間違いない。むろん、それは安倍派への影響力を通じて権勢を保っている森氏の意思に背くことになる。
事実、1月25日の新聞に党執行部が安倍派幹部の自発的な離党や議員辞職を求めているという記事が出た直後、森氏は麻生事務所を訪れて怒鳴り散らしたといわれる。
だからこそ、岸田首相が処分の軽重を決めるにさいし、安倍派に厳しくあたる姿勢を示しつつも、どこかで森氏の望みを叶える必要があった。その結果、塩谷氏は犠牲となり、萩生田氏は救われた。
森山派をのぞいて、解散宣言した各派閥ともいまだ事務所はそのまま存在し、「その他の政治団体」登録の取り下げもしていない。むろん、今年9月の総裁選を意識しているからだ。安倍派も例外ではない。解散は名ばかりで、いまも一定のまとまりは保っているはずだ。
安倍派の「決起」を求めると塩谷氏は言うが、萩生田氏はそのような動きを抑える役目を担って、ほとんど無傷のまま党内に放たれているのだろう。
政治改革に国民が期待感を抱けず、支持率が上向かない現状では、岸田首相による解散・総選挙はほぼ不可能だ。総裁選となれば、安倍派に総反発を食らった現状のままではきわめて不利である。









