岸田退陣の瀬戸際に永田町を飛び交う「6.21衆院解散」説の真偽。“自民長老からの電話”は実話か与太話か?

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「長老というのは誰で、なぜ青山氏に電話をしてきたのか、しかも深夜に。たいへん不思議だし、気になるところだ」――自民党の参院議員・青山繁晴氏(71)がYouTubeで“リーク”してネットの注目を集めている「6.21衆院解散説」を、元全国紙社会部記者の新 恭氏が詳しく分析する。選挙でサッパリ勝てなくなった自民党内で「岸田降ろし」の機運が高まっているのは事実だから、うそからまことが飛び出す可能性も十分にある。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「岸田降ろし」は深く静かに進行している

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岸田首相が「選挙の顔」ではサッパリ勝てぬ自民党

事実上の与野党一騎打ちになった5月26日の静岡県知事選挙もまた、自民党の敗北に終わった。

大接戦が予想されていた。自民党の裏金問題が影響し、立憲民主党、国民民主党推薦の元浜松市長、鈴木康友氏が序盤から大きくリードしたが、終盤に自民党推薦の元総務官僚、大村慎一氏が猛追した。

投開票2日前の24日、自民党は大逆転をねらって奥の手を繰り出した。

政治資金規正法改正案を審議した衆院政治改革特別委員会で、山下貴司議員が、政治資金パーティーを禁止するとしている立憲提出の法案に関し、概ね以下のような疑念を呈したのだ。

立憲の安住淳国対委員長は4月に会費2万円の「朝食会」を開催、岡田克也幹事長は5月27日に会費2万円の「昼食会」としてパーティーを予定しているが、これはおかしいのではないか。法律が通らなければパーティーをやり続けるというスタンスなのか。

法律が成立していない以上、パーティー開催は適法だが、だからといってパーティー禁止法案を提出した政党の幹部が、それを開催するというのは確かにスジが通らない。

山下氏の指摘は痛いところをついていたし、メディアがそれを大きく取り上げたのもうなずける。

これに対し当初は、「自民がパーティーも献金もやり放題という中で、自分たちで手を縛ってしまったのでは競争にならない」と岡田幹事長は強弁していたが、あまりにも子供じみた言い訳であり、これでは戦略にならない。パーティー禁止など、どうせ自民党の反対で通らないから、今のうちにカッコよくポーズを決めておこうという魂胆が見え見えだった。

そんなわけでメディアに叩かれ、岡田幹事長と大串博志選対委員長は25日、自身のパーティー開催予定をすごすごと引っ込めた。あまりにもお粗末な対応だったため、翌日にひかえる静岡県知事選への影響が懸念された。

かりに野党系候補が敗れるようなことがあると、せっかく4月の衆院3補選で立憲が全勝したことにより明瞭になった野党優勢の流れが変わる可能性すらあった。

自民党本部は、推薦する大村候補から自民党色を薄めるため、岸田首相ら党の大物議員が応援に入らない“ステルス選挙戦”を繰り広げ、鈴木候補に追いつくまであと一歩という感触を得ていた。

そこに起きた立憲幹部のぶざまな一幕。いやがうえにも期待が高まった。

水面下で進む「岸田降ろし」自民党内からのリーク

しかし、フタを開けてみると、冷厳な現実が露わになった。約7万7000票の差をつけられての完敗。自民党の前に立ちはだかる“不信の壁”はあまりにも厚かった。

裏金脱税で大枚を懐に入れてきた所属議員には大甘な処分ですませる一方、事務の煩雑化も顧みず給与明細に定額減税額の記載を義務付ける岸田政権の恩着せがましさに、物価高に悲鳴を上げる国民は不満を募らせている。

「岸田首相が選挙の顔では勝てない」というのは今や、自民党内の共通認識になってしまった。普通ならとっくに「岸田降ろし」が始まっていてもおかしくないが、そんな様子はうかがえない。

だがそれはメディアが報じていないだけのこと。実は水面下で「岸田降ろし」の動きが進んでいるという声が自民党内から聞こえてきた。

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