実話か与太話か?「自民党の長老」がかけた電話の内容
参院議員の青山繁晴氏が自身のYouTube番組で語った内容はかなり具体的である。ここに紹介しておこう。
5月14日の深夜から未明にかけて、青山氏の携帯に複数の電話があった。いずれも、党の長老からで、内容も重なる部分があった。
それをまとめると、今国会の実質的会期末である6月21日に岸田首相は辞任して内閣総辞職をするべきだという意見を岸田首相に伝えてある。それも、支持率が低いとか、衆院補選に全敗したからというのではなく、「立派な業績も上げたし、日米首脳会談も歴史的なものになった。ちょうどいい潮時ではないか」という理由による退陣の勧めだというのだ。
参院議員としては異例だが、青山氏は9月の総裁選に出馬する意向を持っているらしい。「総裁選に出るなら急いだほうがいいよ」とアドバイスもされたという。
長老というのは誰で、なぜ青山氏に電話をしてきたのか、しかも深夜に。たいへん不思議だし、気になるところだ。
青山氏は「旧体制からすごく強い圧力が岸田首相にかかっている」と言う。それほどの影響力を持つ存在とは……岸田政権を支えてきた麻生副総裁、岸田首相の出身派閥である宏池会のドン、古賀誠氏あたりの顔が思い浮かぶが、確信はない。
無派閥の青山氏は「派閥全廃」を求める同党有志議員の「政治(まつりごと)変革会議」の代表だ。会合には、菅義偉前首相も参加したことがある。そもそも「派閥解消」は、無派閥の菅氏が党の政治刷新本部で唱えたのを受けて岸田首相が提唱し、宏池会、安倍派、二階派の解散宣言につなげた経緯がある。
岸田首相は宏池会の解散にあたって、古賀氏に相談し、了解を得ている。そして、古賀氏は菅氏と裏で手を握っているとされる。よく知られているように、二人とも麻生氏とは犬猿の仲だ。
派閥の力学を利用してキングメーカーであり続けたい麻生氏の反発を覚悟のうえで宏池会を解散した岸田首相は、古賀氏や菅氏との関係を重視しているともいわれている。
そういう観点からすると、真夜中に青山氏に電話した複数の長老というのは、古賀氏、菅氏であったということも十分、考えられる。目的は、総裁選をめぐる情報交換といったところか。
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