岸田総理の“秘策”をもってしても6月解散は「下野への道」
総裁選に関する限り、もはや麻生氏と茂木幹事長は、岸田首相の味方とは言い難い。二人とも岸田首相に見切りをつけているからだ。となると、岸田首相の頼みの綱は古賀氏や菅氏であったはず。その二人から引導を渡されたら、「聞く耳」を持たない岸田首相もさすがに困り果てるだろう。
しかし、青山氏が長老の名を明かしていない以上、それが誰かは想像の域を出ない。青山氏も、長老の意見を聞き入れて内閣総辞職するか、衆院解散に持ち込むか、どちらになってもおかしくないと見通しを語る。
では、岸田首相は実際に衆院を解散できるのだろうか。客観情勢をみる限り、衆院選をすれば自公で過半数を割り込むことが十分考えられる。メディアで「政権交代」という言葉も聞かれるようになった。野党がまとまりさえすれば、あながちあり得ないことでもない。
もしボロ負けし、政権交代を許すようなことがあったら、岸田首相は悪い意味で自民党史に残る首相となってしまうだろう。
普通なら、解散・総選挙は断念するところだが、自公で過半数を割っても維新や国民民主を連立に引っ張り込んで数を確保すればいいと岸田首相は楽観的にかまえているフシもある。自社さ政権をつくったこともある自民党のことだ。政権死守のため野党を分断するのはお手のものかもしれない。
その他の“秘策”もメディアやネット上で取りざたされている。たとえば、岸田首相が外務省の尻を叩いて6月中に日朝首脳会談を実現し、支持率を上げたうえで、解散・総選挙にのぞもうとしているというもの。
今年2月、北朝鮮の最高権力者、金正恩総書記の妹、与正氏が、岸田首相の平壌訪問の可能性に言及しており、拉致問題を解決するための行動を期待したいところだが、与正氏は「日本が拉致問題を障害にしなければ」と条件をつけている。政権維持のために話をまとめようとしたら、相手につけ込まれるだけではないだろうか。
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