その事例として、2022年4月に就航した、宮崎カーフェリー「たかちほ」をご紹介します。
神戸・宮崎間を夜出港して朝到着する、13時間30分ほどの航路です。
約1万4千トン、約194m×27.6m。定員576名、トラック163台、乗用車81台積載可能。
従来と比べて大型化しており、利用者拡大を想定しています。
もっとも違うところは、宿泊スペースがほぼ個室になっているということ。
1~4人は完全個室。
大人数なら、カーテンで仕切る2段ベッドが並ぶ「ドミトリー」。
1人分ずつ小さな仕切りのある「ツーリスト(大部屋)」は、15人部屋が2つあるのみ。
お金のある人以外には、決して快適ではなかったフェリーの旅が、まるでホテルのように生まれ変わったのです。
客室に限らず、乗船客の利便性・快適性を追求した、施設・サービスの充実も図られています。
完全個室にはテレビが設置されており、2~4人部屋には浴室も備わっています。
貴重品ロッカーもあり。
大浴場やシャワールーム、パウダールーム、ショップ、イベントスペース、ラウンジ、キッズコーナー、ベビールーム、ゲームコーナー、展望サロン、展望デッキ、自販機コーナーまであります。
自販機コーナーでは、冷凍食品も販売されており、レンジが設置されています。
また、ペットと一緒に泊まることのできる部屋もあれば、ペットを預けることのできるペットルームもあります。
珍しいサービスとしては、宮崎がサーフィンの盛んなところなので、サーフボードを預けるロッカーもあります。
乗船客にもっとも人気があるのは、バイキングレストランです。
これまでのカーフェリーでは、軽食程度しか用意されていなかったので、バイキングを楽しめるのは、大きな魅力となります。
バイキングがあるから、フェリーを選ぶという人もたくさんいます。
安い移動手段でしかなかったフェリーが、ホテルのようなサービスを提供し、快適な船の旅を約束しているのです。
2024年物流問題によって、トラックのフェリー回帰もみられます。
これにより、ドライバーの息抜き・楽しみが増えているのではないでしょうか。
カーフェリーの旅は、新たな旅のスタイルとして、定着するものと確信します。
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