さらにドラッカーですが、成果が出ないことに悩むNPOの代表者の要望を受けて「経営ツール」としての「5つの質問」なるものを提言しました。そして「経営ツール」は、中堅企業や大企業でも使われるものとなります。この「5つの質問」は、経営者が自身の事業を行うについて、確かに成果を得るための基盤を整えられるもので、計画はこれに始まります。寄る辺ない思いや交錯する考えに対して、明確な指針をもたらしています。
<5つの質問>とは、以下のものです。
1.「われわれのミッションは何か」
2.「われわれの顧客は誰か」
3.「顧客にとっての価値は何か」
4.「われわれにとっての成果は何か」
5.「われわれの計画は何か」
まずは組織(企業)の「ミッションは何か」を考えろと教えるのです。そりゃあそうで、そもそもが自身が果たすべき“使命や役割そして存在意義”が分からないでは、効果的に成果を実現することに焦点を絞れません。人びとが時代が求める精神を、まずは「われわれのミッション」として事業の軸にできるかどうかで、今実行する活動に意味と利益を決めます。とは言え、よく知るように「われわれのミッション」などを考えません。けれども、一方でより多くの成果を上げている企業は、当たり前として「ミッション」を金科玉条として、これを核に経営します。
ではということで、ミッションを規定しなければならないのですがどのようなものであるべきか、またドラッカーに聞きます。「ミッションは“行動本位”たるべきものである。さもなければ単なる意図に終わる、ミッションとは“組織に働く者全員が自らの貢献を知りうる”ようにするものでなければならない」が指針です。
※ちなみに、以下のように多様なものがあります。
トヨタ:「わたしたちは、幸せを量産する」
ソニー:「テクノロジーの力で未来のエンタテインメントをクリエイターと共創する」
ユニクロ:「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」
ホンダ:「人間尊重(自立、平等、信頼)」「三つの喜び(買う喜び、売る喜び、創る喜び)」と多様な表現があり“行動の質”を方向付けます。