『自民党解体論』新装復刻に感慨。辛口評論家が共感する田中秀征氏の言葉

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自民党の政治が猛烈な批判を浴びる中、50年前に刊行された『自民党解体論』が新装復刻されました。著者は元衆議院議員で第1次橋本内閣では経済企画庁長官も務めた田中秀征さんです。田中さんと何度も対談したと語るのは、辛口評論家として知られる佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、共感することが多いとする田中秀征さんの言葉をいくつか紹介。「仮想内閣を選ぶ」という雑誌の企画では、首相を含め3人がダブってお互い驚いたと振り返り、世間からは保守と革新に分類されるような2人の共通する感覚を伝えています。

田中秀征と私の仮想内閣名簿

田中秀征と会ったのは私にとって人生の事件だった。多分、彼が32歳、私が27歳の時、著者と編集者として知り合った。そのころ田中が書いた『自民党解体論』が旬報社から新装復刻されたのは感慨深い。

色分けすれば、彼が保守で私が革新ということになるのだろうが、感覚が似ているのである。田中の指摘に共感することが多い。たとえば田中の32歳の著作の『落日の戦後体制 ─新しい時代の突破口をひらく─』(太陽)の次の一節。

「最近の若い人たち、特に若い女性は、いろいろな選挙ポスターを見て(見るのはまだましな方である)異口同音に『どうして不必要に笑いかけるのか』と反発する。それは、娼婦が見知らぬ人に向かって不自然な笑いと流し目を送る姿を彷彿とさせるのである」

あるいは『活動記』第4号ではこう言っている。

「私は4回落ちても人前で泣いたことはない。“泣き落し”や“土下座”で支持を訴えることにもそれなりの効果はあろう。しかし、私はそういうことだけはしたくないと思ってきた」

自民党にいたことがあるだけにその内実についても詳しいし、具体的である。自民党の頑固な支援組織として田中は6団体を挙げる。農業団体、商工団体、建設関連、遺族会、特定郵便局、三師会(医師、歯科医師、薬剤師)。

それに私立幼稚園も強力で、孫が入っていれば、祖父母まで集票活動に走り、母親は多くのママ友を運動に引っ張り出すとか。(田中『小選挙区の弊害』旬報社)

田中と私は何度も対談しているが『ロッキング・オン』という雑誌で2000年ごろの「仮想内閣を選ぶ」がある。小泉内閣誕生前で、この後に「加藤の乱」が起こった。

田中と私が共通して首相に推したのが加藤紘一で、それには田中から、「僕もびっくりするし、一般の人もびっくりするでしょう」と言われた。相談なく、事前に書いて持って行ってお互いに見せ合ったからである。めったにほめない田中の賛辞が続いた。

「これは佐高信を見直し、ある種の余裕とか幅を感じさせることなんだね。『激辛・佐高がこれで大丈夫なのか?』って思うよみんな。だけど、それだけの柔軟な判断はできるんだって人は見ると思うよ」

田中と私でダブった閣僚はもう2人いる。1人が大蔵(現財務)大臣の梶山静六で、もう1人が運輸(現国土交通)大臣の小倉昌男である。梶山は大蔵に厳しく当たれる人で、ヤマト運輸の小倉は徹底的に官僚にいじめられた。つまり、その官庁が一番いやがる人間を大臣にということだった。

田中を私は官房長官にしたのだが、田中は自分は補佐役にまわると言い、菅直人を官房長官に推した。法相は私が土井たか子で、田中が中坊公平。外相は私が岸恵子で、田中が小泉純一郎である。菅や中坊については、田中の評価は変わっているかもしれない。

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