「ニコニコ」を突如襲った大規模サイバー攻撃。犯人の狙いは金銭目的と見られているが、一部では「自民党安倍派潰し」の一環ではないかとの憶測も飛んでいる。仮にそうだとして黒幕は一体何者なのか?
ニコニコ潰しは自民党潰し? 一部で憶測
株式会社ドワンゴが運営する「ニコニコ」のサービス全般が、大規模なサイバー攻撃によって6月8日早朝から利用できない状態になっている問題で、今回の騒動を「自民党潰し」の一環と解釈する見方が一部ネットで注目されている。
今回のサイバー攻撃では、「ニコニコ」のみならず親会社のKADOKAWAグループ全体で障害が発生。重要データに管理者がアクセスできないように細工したうえで“身代金”を要求する「ランサムウェア」も使われたと発表されており、金銭目的のネットワーク犯罪という見方が一般的だ。
それが「自民党潰し」とは穏やかではない。そもそも「ニコニコ」には、一体どのような「政治性」があったのだろうか。ネットメディア編集デスクが説明する。
「あくまでネットの仮説ですが、今回のニコニコ停止によって誰が最も損をするのか?それは自民党にほかならない、という考察が一部で有力視されています。自民党とニコニコの“癒着”を疑う声は相当以前から存在し、ニコニコ動画は政権与党によるネット世論工作の“拠点”になっているとの批判がありました。当時は陰謀論の類とみられていたのですが、安倍さん暗殺をキッカケに“状況証拠”が次々に明るみに出た格好です。中でも『とんこれ事件』は、ニコニコの『政治性』を人々に強く印象づけるものだったのではないでしょうか?」(ネットメディア編集デスク)
「とんこれ事件」で露呈、自民・ニコニコ・統一教会のいびつな政治性とは?
2022年7月8日、安倍晋三元首相が山上徹也容疑者に自作の銃で撃たれ死亡した。2日後にせまる第26回参院選の応援演説のため、奈良市を訪れた最中の悲劇だった。
この暗殺事件について、直後の新聞は「民主主義に対するテロは決して許されない」という論調で各社足並みを揃えた。山上容疑者が主張する「安倍元首相と旧統一教会の関係」が団体名入りで報じられることは国内ではほぼなく、ある種の報道管制が敷かれていた。
そんな異常とも言える空気の中、ニコニコを舞台に決定的な「事件」が発生する。
「ニコニコは参院選当日の2022年7月10日に『【参院選2022】開票特番|三浦瑠麗、東浩紀、石戸諭、夏野剛と見守ろう』を放送しました。その番組内で、社民党の福島瑞穂党首が安倍さんと旧統一教会の関係に言及したところ、批評家の東浩紀さんをはじめ出演者らが一斉に『問題発言』として謎の福島氏批判にまわり、旧統一教会を擁護しはじめたんですよ。これによってニコニコの『自民びいき、カルトびいき』な一面が世間に知れ渡ることになりました」(前同)
同番組内で東氏が発した「これとんでもねぇ話だなぁこれぇ!?」というセリフは、「常識レベルの話に無理矢理イチャモンをつける滑稽さ」や「発言者の余裕のなさをどんな場面においても表現できる汎用性の高さ」から大いに注目され、またたく間にネットミーム化。そこから本事件は「とんこれ事件」と呼ばれるようになった。
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さらに現在は、出演者らによる福島氏への難癖に飽き足らず、それに同調していた多数のユーザーコメントにも、あらためて注目が集まっている状況だという。
「一部報道によると、今回のサイバー攻撃を仕掛けたハッカーはドワンゴ社に対して、ニコニコユーザーの個人情報やコメント履歴を晒すと脅迫しているようです。世間の反応は『エロ動画の閲覧履歴を晒されたら恥ずかしい』など素朴なものが主ですが、一部では、政治関連のコメント履歴のほうがよほど怖いとの指摘があがっています」(前同)
昔から、政治と宗教と野球の話は人前でするな、とよく言われる。ただ、たとえ自分の政治思想がハッカーに暴露されたとしても、言論の自由が保障されている日本では何ら恥じる必要はないはず。エロ動画の嗜好やクレジットカード情報のほうが何倍もつらい気がするが――
「ユーザーおのおのが、本当に個人の考えを投稿していただけなら、それが誹謗中傷などに該当しなかぎり、どんな政治思想を持っていたとしても、何党を支持していたとしても、何ら恥じることはありませんよね。でも、いま巷で心配されているのは、『もし万一、政治関連のコメント履歴で、一部ユーザーや内部による“自民党擁護”の自作自演などが暴露されてしまったら…』ということなんですよ」(前同)