<横田>
「こうやって人はダメになる」という言葉で思い出したのは、私が管長になって最初の頃に先代管長から諭されたことです。管長になると人前で話をする機会が増えるんですね。構成を一所懸命に考え、準備をして、法話が終わると、聴衆がバーッと拍手をしてくれる。いい気持ちになるわけです。
でもある時、先代管長が「拍手は人をダメにする」と言ったんですね。「拍手されるたびにダメになると思え。手を叩かれるような話はまだまだだ。手を叩くことすら忘れて、思わずその手が合わさるような話をしなきゃいかん」って。その時は正直なところ「うるさいこと言うなぁ」と(笑)。
<栗山>
ハハハ(笑)。
<横田>
有り難いことにそうやって事あるごとに頭を抑えてくれていました。
明治時代の作家・斎藤緑雨という人の言葉に、「拍手喝采は人を愚かにする道なり」とあるんです。決して自う惚ぬぼれずに、自分を律することはとても大事ですよね。
<栗山>
味わい深い言葉です。(『致知出版社の「人間力メルマガ」』より一部抜粋)
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