コロナ流行期の「妊婦のストレス」が「子どもの脳の発達」に影響を与えるという研究結果

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さまざまなことで胎児に悪影響がないようにと、妊婦がナーバスになるのは当たり前のこと。コロナ禍においては、不安やストレスがなおさら大きくなっていたとしても不思議ではありません。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、新型コロナ以前と流行中の妊婦とその子どもを比較し、妊婦の心的ストレスと子どもの脳の発達度合を調査したアメリカでの研究を紹介。コロナ流行期には、予想通り不安が大きくなっていて、不安が大きな母親の子どもほど脳の体積が減少する傾向が見られたとするデータを伝えています。

妊娠中のストレスと子どもの脳の発達

◎要約:『妊娠中の母親の不安が大きいと、子どもの脳の構造に影響(特に左側扁桃体の体積減少)が生じるかもしれない』

今回は、COVID-19によるパンデミック期間中の妊娠中のストレスと、子どもの脳の発達について調べた研究をご紹介します。

パンデミック期間における妊娠中の心理的ストレスと子どもの脳の発達
Prenatal Maternal Psychological Distress During the COVID-19 Pandemic and Newborn Brain Development

パンデミック期間前の103組、パンデミック期間中の56組の母子(母の平均年齢34.5歳、出生時の妊娠週数39.6週)が対象となりました。不安などのストレス関連の指標と、脳画像で分かる脳の各部分の体積を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。

  • パンデミック期間中には、不安のレベルが明らかに上昇していました。
  • 不安の強い母親から出生した乳児では、脳の白質、右側の海馬、左側の扁桃体で体積が減少していました。
  • パンデミック期間の影響を調整した結果では、不安の強さと左側扁桃体の体積が関連を示していました。

(介在する要素はあるかもしれませんが)妊娠中の母体の精神状態が、子どもの脳の発達に影響を与えることが確かめられる内容でした。

image by: shutterstock.com

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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