統一教会の元信者も「すげえ!」と驚き。最高裁の“不起訴合意の念書”無効判決で大きく開かれた被害者救済の道

 

2.救済の道が大きく開かれた判決となったとみる理由

今回の判決により「単に(霊界の恐怖で)脅されたというだけではなく、広くその人の自由な意思、合理的な判断ができないような困難になる状態に陥っているかどうかを考慮すべきことになる」と同弁護士は指摘します。

今までですと、被害者本人が受けた、霊界の恐怖や不安を煽った献金勧誘の一つ一つの行為を示しながら、違法性を裁判所に訴えて返金を求めてきましたが、その状況が一変することになります。

この判決が示されたことで「幅広く、どうして献金を出してしまったのかを考慮した上で、その人の自由な意思が抑圧されていないかも判断すべきと判じています。そういう意味ではいわゆるマインドコントロールのような状況下でお金を出してしまったことについても、被害を回復し得る可能性が高くなった」としています。

今回の判決でも、母親はすでに亡くなっており、念書を書かされた時には、認知症の症状は出始めていたと考えられており、どのようなことをいわれて長年、献金を出させられ続けたのかははっきりといえない状況です。そうした方でも、多角的にみて「当否を冷静に判断することが困難な状況にあった」となれば、返金されるということになります。

判決を傍聴した時には、被害をしっかり見てくれた判決という気持ちでしたが、弁護士らの会見を聞き、判決文を読めば読むほど、被害救済につながる深く意味のある最高裁判決であったと感じています。

3.最高裁判決を受けて改めて思う、高齢者への悪質な高額献金の実態

教団側が2012年に地区のトップの責任者を呼んで行った会議のなかで、内部資料として、コンプライアンス、クレイム対策(原文のまま)で特に重点とすべきこととして「功労者、高齢者食口に対して、信仰の証となるような文書を残す。献金が信仰に基づき任意になされたことを示す契約書を残す。その徹底化を」というものがあり、全国で数多くの信者たちが、信仰に基づく任意の献金であることを示す文書などを書かされていることが推認されます。

特に、認知症などで判断能力が衰えた高齢者に、念書を書かせる。中野さんのお母さんもおそらく教団側との受け答えに対しても、充分な答えができなかったと思われます。そうしたなかでビデオを撮っていたとすれば、悪質な手口の極みといえます。こうして集められたお金が神の国実現のために使われて、本当に神様や善なる霊たちは喜ぶのでしょうか。それはその人の「救い」と言えるものなのか。教団の信者らは自分の胸に手を当てて、考えてほしいと思います。

すでに全国で、不起訴合意の念書や合意書を書かされて、返金を諦めている人でも、念書が無効とされた最高裁の判決により救済の道が大きくひらかれました。被害者の方には、ぜひとも声をあげてほしいと思います。

法務省・霊感商法等対応ダイヤル(0120-005931)

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