4.教団は自らの首を絞める結果になっている
6月26日、全国統一教会被害対策弁護団は、旧統一教会への第8次集団交渉が行われましたことを発表しました。被害者20名、約7億円弱の請求となっており、これまでの合計は約53億3,778万円にも上っています。
今回の交渉では、宗教2世らが慰謝料(1,000万円)の請求を教団に行っていることは報道されていますが、交渉に参加した他の被害者の事例もご紹介しておきたいと思います。
阿部克臣弁護士は次のような悪質なケースをあげています。
1つ目が「子どもを亡くして悩んでいたところ、子どもが亡くなったのは先祖の家系に問題があるからだといわれて、先祖を供養すれば亡くなった子どもも浮かばれる。先祖の供養には家系図を作成する必要があると迫られて、夫の預金口座のお金から先祖供養のための献金をさせられた」(2018~2019年)
2つ目は「離婚後も長期間、自分の子供が会えていなかった。母親は施設に入所している。妹が重篤な障害を負っており、ご本人が追い込まれて精神的に苦しい状況のなかで、統一教会の人から必ず問題が解決できるといわれて、手持ちのお金をほぼ全てを献金させられました。ごく一部だけ、生活が苦しいということで返金を受けたんですけれども、その際、統一教会関係者に取り囲まれて強引に今後請求しないという合意書に署名させられた」(2022年の被害)
この2つは、ごく最近の事例ですので、高額献金の被害が、いかに最近まで行われていたかがわかります。しかも2つ目のケースでは教団から23年に合意書を取られています。
最高裁で念書無効の判断が示されたように、返金交渉をする権利を奪うような行動をすることは、逆に自らが行わせた献金行為がいかに悪質であったかを示す結果となります。念書、合意書を書かされた問題はさらに広がりを見せると思いますが、組織ぐるみの行為によって、教団は自らの首を絞める結果になっているといえます――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年7月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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