メディアの記事のなかには、1978年、トウ小平が「改革開放政策」を打ち出した第11期3中全会と比較するものも見受けられたが、中国の体質を一変させるような大変革と今の時代とは根本的に違う。天安門事件後に江沢民総書記が選出されたのが1中全会ではなく4中全会であったような話だ。
そうした点を踏まえて3中全会を見てゆくと、まず中央委員会全体会議は先に述べたように大きな方向性を描き出すのが役割だ。これは「選択」とも解釈できる。
例えば、中国の交通事情を整理しようとしたとき、どの問題を優先的に解決してゆくべきかの選択と同じだ。舗装された道路を増やすのか、それとも既存の道に信号機を増やすのを優先すべきか、といった選択だ。マンパワーが限られるなかで、飲酒運転の取り締まりを強化するのか、それとも先に駐車違反を撲滅するのかといった話でもある。交通安全を取るのか、スムーズな流れをとるのかという考え方の選択であるのと同時に、資源の配分をどう行うかという選択でもある。
今回の3中全会の直前、CCTVは複数の番組で特集を組んだが、そこで目立ったのは「協調」という言葉だった。例によって次々と大きな成果が強調されるなか、「大きな課題も残った」という流れのなかで使われたのが「協調」である。つまり、格差の是正が相変わらず大きな課題だと大会前に大宣伝したことになる──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年7月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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