「具体性に欠け」て当たり前。各国メディアの中国「3中全会」批判の的外れ

 

メディアの記事のなかには、1978年、トウ小平が「改革開放政策」を打ち出した第11期3中全会と比較するものも見受けられたが、中国の体質を一変させるような大変革と今の時代とは根本的に違う。天安門事件後に江沢民総書記が選出されたのが1中全会ではなく4中全会であったような話だ。

そうした点を踏まえて3中全会を見てゆくと、まず中央委員会全体会議は先に述べたように大きな方向性を描き出すのが役割だ。これは「選択」とも解釈できる。

例えば、中国の交通事情を整理しようとしたとき、どの問題を優先的に解決してゆくべきかの選択と同じだ。舗装された道路を増やすのか、それとも既存の道に信号機を増やすのを優先すべきか、といった選択だ。マンパワーが限られるなかで、飲酒運転の取り締まりを強化するのか、それとも先に駐車違反を撲滅するのかといった話でもある。交通安全を取るのか、スムーズな流れをとるのかという考え方の選択であるのと同時に、資源の配分をどう行うかという選択でもある。

今回の3中全会の直前、CCTVは複数の番組で特集を組んだが、そこで目立ったのは「協調」という言葉だった。例によって次々と大きな成果が強調されるなか、「大きな課題も残った」という流れのなかで使われたのが「協調」である。つまり、格差の是正が相変わらず大きな課題だと大会前に大宣伝したことになる──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年7月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: SPhotograph / shutterstock.com

富坂聰この著者の記事一覧

1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 富坂聰の「目からうろこの中国解説」 』

【著者】 富坂聰 【月額】 ¥990/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print
いま読まれてます

  • 「具体性に欠け」て当たり前。各国メディアの中国「3中全会」批判の的外れ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け