「ザル法」と呼んだらザルに申し訳ない政治資金規正法改正案
今回の裏金事件は、自民党が組織ぐるみ、派閥ぐるみで、長年に渡って慣例的に行なって来た犯罪なのですから、最大の責任者は自民党総裁である岸田首相ということになります。そして、その岸田首相は、事件発覚直後の昨年12月、次のように述べました。
「国民の信頼回復のために、私自身が火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んで行きます!」
で、そんな岸田首相が火の玉となって採決した政治資金規正法改正案は、いくらでも言い逃れができる「なんちゃって連座制」に、時効が7年なのに10年後に使途を公開するなど、もはや「ザル法」などと呼んだらザルに申し訳ないようなお粗末なシロモノでした。
その上、党として処分されたのは裏金議員の半数以下の39人だけで、それも党の役職に就いていない萩生田光一氏を「1年間の党の役職停止」にするなど、実質的には「何のオトガメもなし」と変わらない処分が大半でした。
そもそもの話、今回の事件は、普通に政治資金収支報告書に記載していれば何の問題もなかったことなのに、自民党の安倍派を中心とした100人近い議員が、組織的に政治資金収支報告書に記載しない裏金を作っていたという事件なのです。そうであれば、何のためにそのようなことをしていたのか?その裏金は何に使っていたのか?誰の指示で行なっていたのか?こうした根本的な部分が解明されなければ、何も分かりません。
それなのに、岸田首相は単なる「記載漏れ」と同じ扱いをして、後から政治資金収支報告書にテキトーなことを書き込めばOKって、なんじゃそれ?あたしは個人事業主なので、毎年毎年100円単位の領収書までキチンと揃えて申告してるのに、領収書もなくて使途だけテキトーに書けば2,000万円でも3,000万円でもOKって、ふ・ざ・け・ん・な!
…と、ちょっと興奮してしまいましたが、全容解明などホド遠い裏金議員のアンケート調査だけでお茶を濁し、痛くも痒くもない形だけの処分と、何の意味もないザル法の採決でチャンチャン!…って、これじゃあ「火の玉」どころか自民党自体が「火の車」になっちゃうんじゃないですか?そして、その一端が7月7日の都議補選だったんじゃないですか?
ようやく垣間見えて来た「裏金の使途」
そんな自民党の安倍派に所属し、過去5年間に計2,196万円もキックバックを受けていた堀井学衆院議員は、この全額を政治資金収支報告書に記載せず、丸パクリしていました。そして、発覚後に修正された政治資金収支報告書を見ると、今度は1,000万円余りの使途不明金が計上されていたのです。
堀井議員の香典バラ撒き事件を捜査している東京地検特捜部は、この1,000万円が買収の原資として使われていた可能性が高いと見て引き続き捜査をしていますが、すでに堀井議員の元秘書からは「安倍派から還流された現金が香典などの原資に使われていた」という証言も得ているようです。これが事実であれば、80人もいる安倍派の裏金議員が誰1人として口を割らなかった「裏金の使途」が、ようやく垣間見えて来たことになります。
こうした違法な支出は政治資金収支報告書に記載できませんので、領収書を必要としない裏金が必要になります。きちんと記載していれば何も問題はなかったのに、何十人もの安倍派の議員が、まるで判を押したかのように、同じ手口で政治資金収支報告書に記載せずに裏金をプールしていた、もしくは何かに使っていた、ということは、堀井議員の香典と同じように選挙での買収などに使われていた可能性が濃厚なのです。
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