パリ五輪「開幕式」で露呈した日本とフランスの“圧倒的な国力の差”。京大教授が「高校の文化祭レベル」だった東京五輪を思い出し屈辱を感じた理由

 

思い起こしてしまった東京五輪の「残念」極まりない開幕式

そもそも『愛の賛歌』というのは,フランス人にとっての「大衆」歌謡曲である「シャンソン」の代表曲であり、世界中の人が知る曲。いわば、フランスの誇りとなり得る一曲。

この曲が素晴らしいのは、そのメロディと共にその歌詞。何という素晴らしい歌詞なのでしょう…というような素晴らしい歌詞です(そう感ずるのはフランス人だけでなく、当方だけでなく、世界中に数限りなくおられる、本当に素晴らしい歌詞です)。

愛の讃歌日本語の意味?和訳と解釈は?パリオリンピック開会式

なんと素晴らしい言葉の数々でしょう…。

この素晴らしい言葉とメロディを、歌うのがセリーヌ・ディオン。

彼女は勿論カナダ人。フランス人ではありません。

しかし彼女はフランス系のカナダ人。というか、カナダ人は8割以上が、実はフランスからの移民の子孫であるところのフランス系の人々なのです。したがって、セリーヌ・ディオンの「ナショナリティ」(国民性)は「カナダ国民」になりますが、「エスニシティ」(民族性)は「フランス人」なのです。

というより彼女の名前はフランス語系の名前ですし、言葉も英語よりもフランス語を母語とする方です。

それはいわば「ほとんど日本語しかしゃべらない日系アメリカ人」の様な存在です。そんな方がもしいたら、我々日本人だったら「アメリカにたまたま今住んでいる日本人」だと認識することでしょう。

しかも彼女は、1995年に発売されたフランス語アルバム『フレンチ・アルバム』がフランス国内で400万枚を超える歴代最高の売上を記録しています。そしてこの功績により翌年1996年にフランス政府より芸術文化勲章を授与されています。

その彼女は、スティッフパーソン症候群という難病にかかり、歌えば激痛が走るため、長い間歌えなかったとのこと。そんな中、今回の開幕式での「復活」とあいなった次第。

そして彼女が歌い上げた舞台は、これもまたフランス、パリを象徴するエッフェル塔。

すなわち、100年ぶりとなるパリ五輪の開幕式は、フランスの国力の象徴とも言えるフランス人移民を中心に作り上げた北米国家のフランス人の末裔であり世界を代表する歌姫のセリーヌ・ディオンが、世界中の人々が知るフランス・パリの象徴であるエッフェル塔で、世界中の人々が知るフランスの大衆歌謡を歌い上げる演出でエンディングを迎えたのです。

それは「フランス」という一つの大国の文化的、社会的、政治的な水準の高さを世界中に見せつけるイベントだったわけです。

当方は、このセリーヌ・ディオンの歌で感激をしながら、前回の日本の東京五輪の「残念」極まりない、というより「世界中の人々に恥ずかしいことこの上ない」開幕式を思い起こし、次のようにX上でツイートいたしました。


難病と闘うセリーヌ・ディオンの「愛の賛歌」の素晴らしき歌声に心の底から感激しつつ,我が国日本の前五輪開幕式を思い起こし重ね合わせ,日本とフランスの国力にここまでの差が付いているのかと悲しく感じたのは私一人ではないのではないかと…思います

当方はこのツイートに反発する日本国民は大量にいるだろうし場合によっては少々炎上気味になるかも知れないと思い、少々ツイートすることがためらわれましたが、この「恥」を契機として、再び誇り有る国家日本を目指す気概を喚起するためにも、改めてツイートする事と致した次第です。

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