年間6万8千人の高齢者が「孤独死」の衝撃。世界で通じる言葉になるのが確定的な“Kodokushi”という日本独特の問題

 

欧州の「高齢者の力を社会に生かす」という価値観

国の考え方も日本とはちょっと違います。

本来、人口構成が変われば社会のスタンダードも変える必要があるのに、日本はいまだに「元気に動ける人」「バリバリ働ける人」モデルで社会が回っていますが、欧州のそれは「高齢者仕様」です。

スタンダードを高齢者仕様にする=若者も住みやすくなる、との考えに基づき、10年前から高齢化を見据えた住宅、交通、市民生活など具体的な対策が進められました。

フランスでは、誰もが元気に年を重ねることができる社会の構築を目指して、2015年12月に「高齢化社会への適応に関する法律」を制定。18年6月にはマクロン大統領が「高齢者の自立のための公共政策改革」を発表し、高齢者の住みよい社会作りをテーマに、大規模な市民協議会が開催されフランス全土で41万5,000人超が参加しました。

ドイツの取り組みは1971年から始まっていて、ベルリンでは市民団体が、高齢のコミュニティづくりを目的に趣味のプログラムを実施。1990年代には多くの都市で、高齢者のボランティアを支援する窓口を設置しました。2003年には高齢者と若い世代が一緒に暮らす多世代型の住宅づくりも行われています。

フランスもドイツも共通して高齢者を取り巻く課題を、次世代の高齢者である若者にも共通の課題として認識してもらうことにあります。社会全体で考える=「高齢者の力を社会に生かす」との価値観が存在するのです。

日本では「高齢者=認知症」という対策ばかりが先行していますが、もっと「高齢者の力を生かす」ためにどうすればいいのか?を社会全体で考えた方が、若者の未来を照らす光になると思うのです。

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