映画『スージー・サーチ』の世界とは真逆。知的障がい者たちのSNS事情

 

この作品は、私が専門とする「ケア」の視点で考察すると、違う一面が見えてくるから面白い(これは大学の講義で行う予定だ)。しかし、ストーリーを説明しなければならなくなるから、ここでは出来ない。ホームページに記載されたあらすじは以下である。

「ポッドキャストで未解決事件の配信を続けるものの、なかなかフォロワーの増えない孤独な大学生のスージー(カーシー・クレモンズ)。ある日、保安官事務所でのインターン中に、インフルエンサーとして絶大な人気を誇る同級生のジェシー(アレックス・ウルフ)が、行方不明になっていることを知る。
ジェシーがいなくなって1週間。独自の調査を始めたスージーは、なんとポッドキャストの配信中に失踪したジェシーを発見!番組は大きな反響を呼び、一躍脚光を浴びる存在になる。誰もが羨む名声を手に入れたスージーは、捕まっていない犯人を追って配信を続けるが、事態は思わぬ方向に転がっていき――」。

ついついのぞいてしまう誰かの投稿、次々とみてしまうショート動画――。日々、めくりめくソーシャルメディアからの情報の波に飲み込まれた私たちと社会。すべての人がおそらくソーシャルメディアの「害」を知っている。

そして、それらの情報に心が左右され、時には悪いこともしてしまう人たちもいることも知っている。『スージー・サーチ』はそんな日常の延長で起こる「魔」を描いている。知っていても、やめられない、バズろうとする行為。

このへんで私たちは「なぜか」を真剣に考えなければならないと思う。学ばなければならないと思う。知的障がいのある人が新しいコミュニケーションの場として、仕事を終えた後に「お疲れさま」が発信できる空間を壊さないように、大切な場所として機能させるために。

image by: 映画『スージー・サーチ』公式HP

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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