中国の自動車生産台数において、今まで5年連続でトップをひた走っていた広東省。しかし、今年の上半期でトップの座を重慶市が奪ったようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、この要因を「華為(ファーウェイ)」だとして、その理由と背景を詳しく解説しています。
重慶市が自動車生産でトップに返り咲き、その要因はやはり華為
重慶市の自動車生産台数が2024年1~6月、中国トップとなった。
もともと「中国自動車生産トップシティ」だった同市だが、近年は乱高下していた。
5年連続で首位の広東省を抑えてのもので、広東省の自動車生産と言えば日系が主力だけに、時代の変化を感じさせる。
そしてこの重慶市のトップ返り咲きはやはり、華為(ファーウェイ)が要因であり、2024年の中国自動車業界は改めてファーウェイの都市を印象付けるものとなった。
重慶の自動車生産
重慶市は2016年、300万台以上の自動車を生産、中国トップに君臨していた。
しかし2017年から急減、2019年にはわずか138万台の生産にとどまり、順位は7位まで転落。
2020年以降はじりじりと回復、2024年1~6月で首位に返り咲いた。
2024年上半期の生産
同期間中、重慶市では前年同期比15.8%増の121.4万台の自動車を製造した。前年同期と比べた時の増加台数は16.56万台となる。
一方で、新エネルギー車(NEV)だけで見てみると同1.5倍の39.1万台で、同じように増加台数は23.46台となった。
全体の増加台数よりもNEVの増加台数のほうが多い、ということは、ガソリン車など非NEVの生産が大きく落ち込み、その分をNEVが補完した、ということになる。
長安NEVが開花
この要因は、一つは国有メーカー長安汽車だ。「啓源」「深藍」などNEV専用ブランドが好調なのが大きい。
2017年に2025年までのガソリン車販売停止、1000億元(約2兆円)をNEVに投じていくという方向性を示したものが、今になって形になってきている。
2025年までのガソリン車販売停止が可能かどうか、現状では微妙のような気もするが、重慶市のNEV生産の活発化を長安が支えたのは間違いない。
今後はAVATRも?
また、今のところ販売台数は伸び悩んでいるが、ファーウェイとの「阿維塔(AVATR)」も今後の活性剤として考えている。
先ごろファーウェイのサプライヤー子会社、引望に対して2000億円以上を出資して10%株式取得していることにも表れている。
AVATR幹部は引望のさらに10%株式の取得も検討していることを明らかにしており、前のめりだ。
SERESとのAITO急成長
もう一つは民間メーカー賽力斯(SERES)だ。SERESそのもののブランド製品は引き続きほとんど売れていない。
しかし、やはりファーウェイと協力して展開している「問界(AITO)」が引き続き堅調だ。
AITOだけで、すでに日産の中国における販売台数を上回る勢いを見せている。
SERESも先日、引望にやはり出資して10%株式を取得している。
同市に華為エコシステム凝縮
最近は中国の自動車業界でも引望の話題で持ちきりであり、引望を中核としたファーウェイの自動車エコシステムが今のところは重慶市に凝縮されている。
NEVのみの製造であればBYD工場がある西安の陝西省、米テスラ工場がある上海市が大きなウェイトを占めているが、重慶市もファーウェイパワーでランキング上位に組み込もうとしている。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/zKw42IHKtF6F9F4SRueYmg
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