東日本大震災から13年。被災地には「学びの場」としての希望があった

 

宮城県では、みやぎ東日本大震災津波伝承館の特別企画として年間を通じて「3.11学びなおし塾」を開催している。大学・研究機関の研究者から震災に関する学術研究の話から、広く一般の人たちが「学びなおす」企画だという。

内容は「大災害後のメンタルヘルス-東日本大震災、福島原子力発電所事故からの教訓-」(東北大学災害科学国際研究所・國井泰人准教授)、

「津波被災地における移転事業とその後」(東北大学大学院・荒木笙子助教)、

「東日本大震災の犠牲者への対応から学んだこと」(東北大学災害科学国際研究所・ボレーペンメレンセバスチャン准教授)、

「農業・農村復興の現場知を未来に繋ぐ-農業・農村復興の現場では何が起きたか-」(宮城大学事業構想学群・郷古雅春教授)、

「災害前の記憶の伝承-被災地各地での“記憶の街”の活動から-」(東北学院大学教養教育センター・磯村和樹助教)、

「震災伝承の最新動向・最新研究」(東北大学災害科学国際研究所・佐藤翔輔准教授)。

軒先の会話からは遠いが、これも重要な話である。

震災から12年以上も経過すると、その「学び直し」は学術的には継続的な調査で見えることや、新しい発見等、新しい何かを求めているのかもしれない。

一方で被災地域の方々は、震災直後と変わらず、命を守ることを、自然に問い続け、語り続ける。被災地で障がい者の母親のネットワーク「本吉絆つながりたい」の母親は、学生らに「まず自分の命を守ることが第一、その上でほかの人を助けてほしい」と呼びかけた。風景が変わっても思いは変わらない。

震災前の風景が想像でしかなくなっても、若い世代にコミュニケーションをあきらめることなく、続けることで広がる想像はある。その若い感性が新しいケアを創造していく。学びの場として、被災地には希望があるのだと思いたい。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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