日本のお隣、中国では新エネルギー車(NEV)の勢いが止まらないようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、中国の新車販売データを扱った記事を紹介。ガソリン車の販売が激減したほか、日本車とドイツ車のシェアが急落しているとのこと。また、NEVの浸透率50%が常態化しつつあるとし、その数字は2年弱で「80%」にまで伸びる勢いだといいます。一体、何が起きているのでしょうか?
中国の新車販売でNEV比率が50%常態化、今後2年弱で80%に?
中国の新車販売で、直近の月別では、新エネルギー車(NEV)が占める割合(以下浸透率)が50%に到達してきている。
2020年10月のその数値は7%程度だったことを考えると、急成長を遂げていると言える。
これを受けて、BEV専業の中国新興メーカー蔚来(NIO)ファウンダーの李斌董事長は、浸透率が80%に達するのに今後2年はかからないだろう、との見通しを示した。
ガソリン車販売が急減
中国のNEVは、BEV、PHEV(REEV含む、以下同)、FCVのみを指し、HEVは含まれない。充電・充填ができるものに限定されている。
この4年間で浸透率は7倍以上になっているのだから、あと2年程度で30ポイント上昇する可能性は十分にあるのかもしれないが、そこにはいくつかの問題点もある。
2024年8月、ガソリン車の新車販売は前年同月比28%減の87%にとどまった。
ガソリン車を主力としている外資合弁や、そのラグジュアリーが苦戦している。特にBMWで極端な価格調整があり、ラグジュアリー車の販売は同21%減。
中国消費者のジャーマン3好きという信仰も失われつつある。
日独シェアが急減
特に深刻なのは通常ブランドのガソリン車で、同27%減。
VWを中心としてジャーマン3を含むドイツ勢の中国市場シェアは同3.5ポイント低下して16.6%、トヨタ、ホンダ、日産の日系勢では同4.2ポイント低下して12.6%となった。
数年前までは両者のシェアは20%を超えていたことから考えると、確かに急落と言える。
BEVとPHEVのシェア
ガソリン車が売れなくなっているのは間違いないが、NEV全般が好調か、というと、そうでもない。
FCVはほぼ普及していないので除外するとして、引き続き前年同期比でプラス成長を続けるBEVとPHEVだが、伸びははっきりとPHEVが勝っている。
NEVの新車販売に占めるBEVとPHEVの比率は2020年10月、83%と17%であり、圧倒的にBEVが多かった。
これが2024年8月には57%と43%になっている。明らかにBYDのPHEV、理想(Lixiang)やファーウェイのREEVが急成長した結果だ。
新車販売も弱含み
また、浸透率は新車販売全体を母数としているが、これも低下、とまでいかなくても頭打ちであることは間違いなく、当然浸透率は自然上昇する傾向にある。
まずは中国自動車市場が全体的に縮小の段階に突入している可能性を心配する必要もあるだろう。
BEVも今後苦戦が見込まれ、NIOにとって、浸透率が上がるから万々歳ではない状況であることは間違いない。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/yMOS30lPJaeBYGpKoqs75A
※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。
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