どの国から見ても「面倒くさすぎる」アジア版NATOの問題点
反対に、仮に日本が南千島の4島の不法占拠を止めろということで、ドンパチ覚悟でロシアに迫ったとします。
その場合に、ロシアが本当に手出しをしたら、インドを含めたアジア版NATOが全部相手になるから、ということが抑止力になり、4島からの武装解除に役立つということは、難しいと思います。
インドとロシアは長い特殊な関係があり、その曖昧さがインドの外交に独自性を与えています。インドにアジア版NATOに入れというのは、そのインド外交の独自性を否定することにもなりかねません。
一方で、日韓に北朝鮮が絡んだ3カ国の対立関係には、日本と南北韓国の感情的で複雑な経緯があるわけです。
例えばですが、仮に北朝鮮が韓国に攻め込んだとして、自衛隊が韓国の援軍に行くと、自衛隊の駐屯地に韓国の左派系がデモをかけて大トラブルになるかもしれません。そのトラブルがあるレベルを超えると、南北韓国軍が自衛隊に攻めかかるというハプニングもあり得ます。
これは極端な想定ですが、そんな「面倒くさい関係」には、距離の離れた諸国からは抑止のための同盟とは言え、関与するのは勘弁して欲しいという声が上がってもおかしくはありません。この問題で韓国の保守政権にあまり無理をさせると、選挙で政権が左派に行ってしまい、あっさりとアジア版NATO脱退とか、日本だけを除名せよみたいな話になる危険もあります。
もう少し小規模な問題で、例えばインドネシアと東チモールの関係が悪化したからといって、インドネシアがアジア版NATOのメンバーであれば、参加国は中立の立場での仲裁はできません。それどころか、東チモールがインドネシア国軍を挑発した場合に、全加盟国がインドネシア軍を支えることになります。これも非現実的です。









