石破総理の「トンデモ政策」で日本人が覚醒するワケ。アジア版NATO、日米地位協定改定がもたらす“気づき”と世界水準の政治リアリズム

 

世界の現実は「絶対的な非対称性」で成立している

そもそもの問題は、日本とアジア諸国、日本とアメリカの関係が「絶対的な非対称性」をもっているということです。独立国同士として、外交面での絶対的な対等性というのは確保されていると思います。そうなのですが、では関係性は「対称」なのかというと、違います。

例えばですが、日本とアジア諸国の関係ですが、良く日本の保守派が「日本が共栄圏を作ったから、アジア諸国は欧米の植民地から独立した」ということを言います。もっともらしい意見ですが、順番に考えていくと事実に反します。日本が本当に欧米の植民地政策からアジアを解放したのならいいのですが、日本が最初にやったのは自分の植民地にすることでした。

その結果、例えば昭南島(シンガポール)では、共産主義者の潜伏を警戒した日本軍が現地の住民を虐殺するという事件が起きて、これは今でも同国のコミュニティに深く記憶されています。この問題に関しては、シンガポールは「日本を許す」という姿勢、日本側は「認めて恭順する」という姿勢で均衡しています。そこには対称性はありません。対等ですが対称ではないのです。

シンガポールはその後、経済成長を遂げて先進国入りしました。では、日本との関係は対等になったのかというと、結果的にグローバリスムに適応できなかった日本経済は衰退して、今では1人あたりのGDPでシンガポールの半分という惨状を呈してます。日本の富裕層はシンガポールに逃げ、シンガポールの富裕層は日本で豪勢な旅行をして札ビラを切っており、その関係には対称性はありません。

日米の関係に至っては、非対称ということが深く埋め込まれています。日本国の独立はサンフランシスコ平和条約に支えられていますが、そのサンフランシスコ条約では、連合国の枠組みが戦後世界の秩序のベースとなっています。従って、日本は恭順国家であり、軽武装を義務付けられています。

print
いま読まれてます

  • 石破総理の「トンデモ政策」で日本人が覚醒するワケ。アジア版NATO、日米地位協定改定がもたらす“気づき”と世界水準の政治リアリズム
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け