「AIのゴットファーザー」とも呼ばれるジェフリー・ヒントン博士に、今年のノーベル物理学賞授与が決まりました。以前からヒントン博士に注目していたメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、昨年の配信内容を振り返るとともに、ヒントン博士の「これからのAIとの共存について」の懸念を解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ジェフリー・ヒントン博士にノーベル物理学賞
プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。
ジェフリー・ヒントン博士にノーベル物理学賞
カナダのトロント大学名誉教授のジェフリー・ヒントン博士に今年のノーベル物理学賞授与が決まりました。同氏については、このメルマガを始めたばかりの 昨年5月第4号 で一度詳しく紹介したことがあります。今回は、同氏のノーベル賞受賞を祝して、その時の記事を以下に再掲させていただくと共に少し加筆します。
同氏は、今年の12月で77歳になりますが、生涯をAIの研究開発に捧げてきました。AlexNetという画像認識AIの開発で話題となった自分のAIベンチャーがグーグルに買収されたのに伴い、しばらくグーグルに在籍していたこともあります。
しかし、あまりに急激なAIの進化に脅威を感じるようになり、AI開発を積極推進する立場から、その脅威やリスクに備える側に立場を変えるために、昨年5月にグーグルを退社しています。
なお同氏は、2019年にコンピューティング分野でのノーベル賞とも言われるチューリング賞も受賞しています。
ちなみに、物理学賞の翌日に発表されたノーベル化学賞には、グーグルが買収し「アルファ碁」で有名になった英国のAI企業ディープマインド社を創業したデミス・ハサビス氏と、研究員のジョン・ジャンパー氏が選ばれました。「アルファフォールド」と呼ばれるAIモデルによるたんぱく質の構造予測に成功したことが授賞理由です。
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