藤田菜七子元騎手を引退に追い込んだJRAの「やってる感」と自己保身。調整ルーム“スマホ不正事件”の危険な本質とは?

2024.10.15
by 東山ドレミ
 

過去の「外部との通信」で人気騎手が“脅迫”される恐れ

中央競馬のレースの公正を確保するため、騎手は騎乗予定日の前日21時までに調整ルームに入らなければならない。外部との接触や通信機器の使用は原則として禁止する――たしかに、八百長やインサイダー情報の漏えいを防ぐために重要な規則ではある。

だが、それはあくまで建前にすぎず、少なくともこれまでは実効性に乏しいものだったようだ。

JRAが長年に渡って規則違反を「大目に見てきた」がために、「心当たりがある」騎手は数多く存在し、戦々恐々としている。前出の競馬関係者が指摘する。

「私はなにも、藤田さんを擁護するために、他の騎手も同じことをしていたじゃないか!とダダをこねたいわけではありません。そうではなくて、JRAが規則違反を黙認してきたのは事実でしょ?だったら、『騎手の誰某が規則違反をしちゃいました』というJRAの説明こそが虚偽にあたるのでは?ということを指摘しています。要するに今、リーディング上位を含む少なくない数のジョッキーが、藤田さんが“元カレ”に売られたように、外部の人間から脅迫されるかもしれない危険な状況に置かれているということです。『おまえ、あのときオレとLINEしたよな?スクショ残ってるぞ』なんて知り合いに脅されたら、それこそ新たな八百長の原因にもなりかねません。どこまで影響が広がるかまったく予想がつかない状況で、不祥事の責任を藤田さん個人だけに負わせるのは組織の対応として間違っている、ということを言いたいだけです」

文春が入手した藤田元騎手のLINEはたわいもない日常のやりとりで、八百長を疑わせる内容はなかったという。

だが、規則違反に関して「心当たりがある」騎手が他にも大勢いるのは間違いない。万が一にでも、過去の大レースでの八百長が疑われるような事態になれば、競馬界は大混乱に陥るだろう。

それでもJRAは「外部との通信」が新たに発覚するたびに、ジョッキーを淡々と騎乗停止処分にしていくつもりなのだろうか。とても藤田元騎手1人の問題では済まない話に思えるのだが――。

image by: nakashi, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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