消費税を「格差拡大税」から「格差縮小税」にリニューアルする方法
立憲民主党の話に戻りましょう。
立憲民主党は、衆議院選挙に先立ち消費税に対して「食料品の税率をゼロにしても富裕層の方が恩恵が大きい」「だから食料品の税率を下げるよりも、低所得者層に給付金を出すべき」という姿勢を打ち出しました。
この考え方のどこがダメなのか、順に説明しましょう。
まず「食料品の税率をゼロにしても富裕層の方が恩恵が大きい」ということについて。この考え方は、自民党の河野太郎氏も同じようなことを言っておりましたが、野田氏も河野氏も「エンゲル係数」という言葉を知らないようなのです。
「エンゲル係数」という言葉は、だいたい中学生くらいで習うと思うのですが、収入に対する食糧費の割合を示すものです。そして、収入が低い人ほどエンゲル係数高くなることが、知られています。
つまり、低所得者は、収入の多くを食べ物に充てることになるので、必然的にエンゲル係数が高くなるということです。だから、食料品の税率を安くし、ほかの品目の税率を高くすれば、低所得者の負担は減り、高額所得者の負担が増える、というのが正しいのです。
そして、それは日本の消費税の根本の欠陥である「逆進性」を解消することにも繋がり、世界最悪の欠陥税金を、世界標準レベルの間接税にすることができるのです。まずは「消費税の欠陥を直せや」という話なのです。
野田氏や河野太郎氏は「富裕層の方が食べ物に高いお金を使うので、食べ物の税率を下げれば富裕層の方が恩恵がある。それよりも低所得者層に給付金を出した方がいい」と言っています。
が、これは非常に政治オンチな考え方です。確かに低所得者に、食料品の税負担分以上の給付金を支給すれば、算数的には低所得者にとってはプラスになります。しかし、低所得者に給付金を支給するというのは大変な事業となります。
新型コロナ禍での事業者に対する給付金では、委託業者が莫大なお金を中抜きしたり、不正受給が横行するなどのトラブルが多数発生しました。その割には、困っている事業者に必要な金額が行きわたらずに倒産、廃業する事業者が激増しました。
低所得者への給付を行うとなると、新型コロナ禍の事業者給付金の何倍、何十倍の規模になります。当然のことながら、委託業者に莫大な税金が垂れ流しされ、不正受給が横行し、本当に困窮している人たちにはあまり届かない、というような事態になることは目に見えています。
しかも、給付金は税と違って簡単に改廃できるので、政府の都合でいつでも廃止されてしまいます。だから低所得者のガス抜きで最初だけ給付金をつくっておいて、数年たてば廃止となる可能性が高いのです。
新型コロナ禍以降、低所得者向けの給付金は何度かつくられましたが、ほぼ全部が短期間で終了しています。
そして何よりも、消費税の食料品税率をそのままにするならば、消費税の欠陥が是正されずにそのまま残ることになるのです。世界で最悪の税金、日本に格差と衰退をもたらした税金の欠陥が、直されないままになってしまうのです。
消費税の食料品をゼロにすれば、低所得者への恩恵はずっと残ることになるのです。そして、軽減税率の範囲を食料品から生活必需品に拡大し、贅沢品などの税率をアップすれば、消費税は「格差拡大税」から「格差縮小税」に変身できるのです。









