なぜ日本だけこうなのか?消費税が「世界最悪の税金」である理由
大型間接税を導入している世界中の国々は、この逆進性について、ごく当たり前のように適切に対応しています。間接税を導入しているほとんどの国は、低所得者や零細事業者に様々な配慮をしているのです。
イギリスでは間接税の標準税率は20%ですが、燃料や電気などは5%、食料品、飲料水などは0%となっています。
日本の消費税のお手本となったフランスでは標準税率は20%ですが、食料品などは5.5%、医療品などは0%となっています。ドイツでは標準税率は17%ですが、食料品などは7%になっています。
食料品、生活必需品の税率を下げることは、低所得者の負担を減らすだけではなく、「格差の是正」にもなるのです。というのも、収入が低い人ほど、収入に対する生活必需品の割合は大きくなるからです。
収入が低い人は、必然的に収入の多くを食料や生活必需品に回さざるを得ません。一方、収入が高くなればなるほど、収入に対する生活必需品の割合は減っていきます。そして生活必需品以外の消費が増えていきます。
だから、生活必需品の税率を下げれば、低所得者の税負担割合を減らし、高所得者の税負担割合を増やす効果があるのです。
このように、間接税が高い国は、低所得者に手厚い配慮をしているのです。しかも、こういう配慮をしているのは、先進国だけではありません。間接税を導入している国のほとんどで、同様の配慮がされているのです。
財政事情が非常に悪い国々でも、ある程度の配慮はされています。たとえば、世界でもっとも財政状況の悪いとされるアルゼンチンの消費税(付加価値税)でもそうです。アルゼンチンは、慢性的に財政が悪化しており、2020年にも政府が債務不履行に陥っています。アルゼンチン政府が政務不履行に陥ったのは、実に9度目であり、現在IMFの支援を受けて財政再建を行っています。財政は世界で最悪レベルと言っていいでしょう。
このアルゼンチンの付加価値税の基本税率は21%です。が、生鮮食料品はその半分の10.5%です。そして飲料水、書籍などは0%なのです。日本の消費税のように、どんな商品にもほぼ一律の税率をかけ、どんな零細事業者にも納税義務を負わせるという乱暴で雑な税金は、世界のどこにもないのです。
そして現在の「日本の衰退」「格差の拡大」は、消費税の導入とその増税に完全にリンクしています。日本が格差社会と言われるようになり、国民生活の貧困化が問題とされるようになったのは、消費税導入以降のことなのです。
つまり消費税は理論的にも世界最悪であり、その理論通りの現実をもたらしているのです。









