日本に覚悟はあるか?中国と北朝鮮を睨む米トランプ新政権に石破首相が呑まされる「要求」

 

すでにトランプ・シフトが引かれている北朝鮮

では北朝鮮問題への対応はどうでしょうか?

トランプ大統領は前政権時に金正恩氏と3度面会しており、今回の大統領選中も「北朝鮮の脅威に対応し、話し合えるのは自分しかいない」と繰り返していました。ただ、3度の面会を通じて“合意”した内容が一切履行されていないこともよく認識しており、対北朝鮮政策についてはかなりのハードライナーであることには変わりありません。

厳しい対応を貫き、北朝鮮との対話のチャンネルも拒否したバイデン政権とは違い、トランプ大統領は、パフォーマンスも含め、また金正恩氏との対話の機会を設けるものと思われますが、すでに自らを「核保有国」と呼ぶ北朝鮮の対応に対しては不快感を示しているようで、大統領選間際に相次いでICBMの発射実験を行ったことに対しても不快感を示しています。

さらにロシアとの急激な接近も要注意事項としてすでに認識されており、ロシアの力を借りて核技術やミサイル技術が大幅に発展していることに対しては大きな警戒心を抱いているようですので、大統領就任後、直接対話に臨んで“危険性”を取り除くことに加え、プーチン大統領に働きかけて、北朝鮮の暴発を抑え込むように要求するかもしれません。

特に前政権時とは異なり、すでに北朝鮮はアメリカ全土を射程に収めるICBMの技術を確立していると思われることから、前政権時のようにニコニコとは対応しないかもしれません。

トランプ前政権で国家安全保障問題に携わっていた友人によると、「まずは対話を試みるだろうが、なめられていると感じたら、以前シリアに対して行ったように、トマホークミサイルなどを用いた一斉破壊を命じるようなケースもあり得ると考えている」とのことで、恐らく硬軟使い分けた対応で、早期の解決を図ろうとするのではないかと言われています。

北朝鮮当局はまだトランプ氏再選の祝意を表明していませんが、すでにトランプ・シフトが引かれているとされ、アメリカ通で、現外務大臣の崔氏にも近いチョ・チョルス氏をスイス大使に据え、以前米朝協議に参加していた努光鉄氏を国防相に任命する人事を行い、来る米朝会談・協議に備えていると言われています。

最大の懸念でありターゲットである中国との駆け引き

今後、どのような対応を北朝鮮に対して取るのか。その方向性を左右するのが、トランプ外交の最大の懸念でありターゲットである中国との駆け引きです。

前政権時にもそうでしたが、トランプ新政権は中国に対して非常に厳しい態度で臨むことが予想されていますが、それは貿易・通商問題はもちろん、台湾有事に対する毅然とした態度の表明も意味します。

選挙中の公言として中国に対する最大200%の関税措置の発動の可能性もありますが、前政権時と違い、経済が低迷している中国を相手に本気で関税カードを切ると、中国経済のみならず、アジア太平洋地域全域の経済、そしてグローバル・サプライチェーンへの多大な悪影響が及ぶ危険性があるため、来年1月以降、トランプ氏がどこまで本気でそのカードを用いるのかは要注意でしょう。

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