トランプ新政権サイドとコンタクトを始めた中国
トランプ氏の対中圧力のターゲットは、アメリカのビジネス界の保護と国内産業の再興がメインだと思われますが、中国の習近平国家主席が強引に台湾に対する威嚇を行わないこと、つまりアジア太平洋地域のデリケートな安定を崩さないように警告するための関税カードという側面もあるものと考えます。
中国サイドはそれを理解しており、中国政府もまたトランプ大統領のアメリカといかに“安定的かつ互恵的な関係を築くか”に外交的なフォーカスをシフトし始めており、聞くところによるとすでに駐米大使などを通じてトランプ氏サイドとコンタクトを始めているという情報も入ってきています。
それに加えて、中国の存在と影響力を違った側面で使いたいという思惑も見え隠れします。それが対北朝鮮の影響力です。
北朝鮮に対して圧力をかけるという目的で、中国を動かすためのカードとして用いることも考慮されているのではないかとの見方も存在しており、先述のプーチン大統領を通じてロシアからの対北朝鮮抑制と、中国から北朝鮮への圧力をセットで用いることで、トランプ氏は北朝鮮を取り囲み、実質的に動けなくするのではないかとも考えられます。
そう遠くないうちに石破首相が迫られる大きな決断
その際、より重点を置きそうなのが、前出のE.C氏曰く、駐日米軍の戦略的な配置であり、中国と北朝鮮をにらむ目的で規模なども拡大されることになるかもしれません。
その場合、元々E.C氏自身がそうなのですが、日本に対して国防費をGDPの3%程度にまで増額すべきだと要求されるかもしれませんし、自衛隊のさらに積極的な活動を要求されることになるかもしれません。
それに対して石破政権はどう対応するのでしょうか?石破総理は長年表明されてきた防衛に対する持論を突き通すのでしょうか?それともそこも曲げて日米関係の強化に舵を切るのか?
大きな決断が、そう遠くないうちに待っているものと思われます。
トランプ新政権が誕生し、始動するまであと2か月半ほどですが、今回の選挙の結果、大統領のみならず、議会上下院のマジョリティも握ってトリプルレッドを獲得したトランプ氏と共和党が、次の2年(中間選挙)から4年間、どのように振舞い、世界にどのような影響を与えるのか。
大きな期待と不安が入り混じった状態ですが、今はまず与えられた調停官としてのお仕事に邁進してまいります。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年11月8日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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