奪えるモノはすべてブン取るプーチン。「就任後24時間以内のウクライナ戦争終結」の公約掲げる米トランプ新政権誕生前に独裁者が出る“大きな賭け”

 

北朝鮮の派兵が穴を開けた参戦への見えない壁

一つ目の要素は【ロシアとウクライナの戦争がさらに拡大した】という点です。

これまでにもプーチン大統領は意図的に「これはウクライナとの戦争ではなく、ウクライナの背後にいるNATO諸国の企みに対抗するための特別作戦であり、ロシアの国家安全保障問題上、必ず勝たなくてはならない戦いである」と主張し、NATOを“戦争当事者”として非難してきたため、“ロシアとウクライナの戦争”というイメージを薄めてきました。

またゼレンスキー大統領も、自国民と領土、そして主権を守るための自衛戦争という位置づけをしつつ、「ロシアの暴挙に今、毅然とした態度で対抗しなくては、民主主義はすたれるのだ」と主張することでNATO諸国からの即時かつ膨大な規模の支援を引き出そうとしてきているため、ある意味、この戦争はすでに多数の当事者が巻き込まれている戦争という見方が出来ました。

しかし、今回、北朝鮮という、特にウクライナに対して何ら利害を持たない“第3者”が戦線に自国の部隊を派遣し、ロシア軍と共にウクライナ軍への直接攻撃に参加したという現実は、戦争の直接的な当事者を増やしただけでなく、今後、他国がこの戦争に直接的に介入するトリガーとなり、これまでなんとなく存在してきた参戦への見えない壁に穴が開いたことで、これまでに“ウクライナへの派兵という選択肢も放棄しない”と声高に主張していたEUおよびNATOの加盟国の自制が外される危険性も生み出したと考えられます。

フランスのマクロン大統領がその筆頭ですが、フランスについては若干、政治的な受けを狙った眉唾ものの主張であるとも解釈できますが、ロシア・ウクライナと国境を接し、自国への戦争の拡大の危機を日々感じている国々(ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、バルト三国、モルドバなど)については、以前にもご紹介したように「仮にNATOやEUの合意を得られなくても、coalition of the willingを形成して思いを同じにする国々だけでウクライナ防衛のための派兵も辞さない」という国々の参戦を一気に加速させる恐れがあると思われます。

それを防ぐには、ゼレンスキー大統領も繰り返し発言し、かつバイデン大統領も強調している通り、“即時かつ持続的な軍事支援が必要”であり、ウクライナ軍のみでロシアからの侵攻を押し返せるだけの武力支援を行う必要がありますが、果たしてどうでしょうか?

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