奪えるモノはすべてブン取るプーチン。「就任後24時間以内のウクライナ戦争終結」の公約掲げる米トランプ新政権誕生前に独裁者が出る“大きな賭け”

 

プーチンの意図を理解できなくなった中国の対ロ懸念

二つ目は【ロシアとウクライナの戦争に対するフォーカスをずらすことで、対応を難しくした】という要素です。

北朝鮮のロシア・ウクライナ戦線への派兵は、国際情勢において多くの懸念と憶測を呼ぶ行為だと言えます。

ロシアとウクライナの戦争をより難しくしたことはすでに触れましたが、北朝鮮が遠くウクライナにまで兵を送ったことにより、国際社会はロシア・ウクライナ戦線に目を配りつつ、同時に北東アジア地域の緊張にも目を配る必要が出てきました。

まず、北朝鮮の後ろ盾を自認してきた中国は、北朝鮮に対するロシアの影響力が高まっていることに神経をとがらせていますが、今、ロシアの意のままにウクライナにまで遠征した北朝鮮の姿を見て、ロシア政府およびプーチン大統領の意図を理解できなくなってきていると言われています。

「もしかして北朝鮮の軍事力をロシアの力添えで拡大させることで、中ロ間のパワーバランスを回復しようとしているのではないか?」

「ロシアは北朝鮮を、中国に対する壁、もしくは抑止力として用いようとしているのではないか?特に核兵器にまつわる技術とノウハウの提供は、中国の国家安全保障に関わる重大な危機であると同時に、北東アジアの不安定化にも繋がりかねない。それは阻止せねばならない」

このような対ロ懸念が大きくなるにつれ、「もしかしたらプーチン大統領はその内、習近平国家主席に対して、『これ以上、北朝鮮の戦力を拡大させたくなければ、ロシアの対ウクライナ作戦に対して、これまでのように曖昧な態度を取るのではなく、中国もロシアの作戦に積極的に加わるべきだ』と迫ってくるのではないか」という懸念なのか、妄想なのか、分からない状況が拡大してきてもおかしくありません。

その中国によるロシアへの肩入れは、北朝鮮のように部隊を派兵してくれというところまでは行かないものの、より公な軍事物資の支援を迫るという内容なのかもしれません。

このような憶測が拡大してくると、次は何が起きるかですが、アメリカ政府を苛立たせ、アメリカの目を、ウクライナおよび中東から、また中国(台湾海峡)に向けさせることになり、アメリカとその同盟国の対応力とフォーカスを削ぐという事態に繋がるかもしれません。

そうなると、ロシアとしては鬼の居ぬ間に洗濯ではありませんが、ウクライナへの攻勢を一気に強め、できるだけ支配地を拡大しようとすることに繋がります。

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