奪えるモノはすべてブン取るプーチン。「就任後24時間以内のウクライナ戦争終結」の公約掲げる米トランプ新政権誕生前に独裁者が出る“大きな賭け”

 

米新政権が誕生するまでにプーチンが出ることになる作戦

アメリカ合衆国第47代大統領に就任するトランプ氏は、選挙中より「就任後24時間以内にウクライナ戦争を終結させる」と繰り返していましたが、それをプーチン大統領がまともに取るのだとすれば、その“24時間以内の終結”は、ロシアがそれまでに支配した土地をすべてロシアに割譲することを認め、新しい国境線をウクライナとの間に引き直すという、ウクライナにとっては敗北を意味する結果くらいしか考えられないという分析に基づくと思われるため、トランプ新政権が誕生するまでの2か月ほどの間に一気に獲得できるものはすべて獲得しようという作戦に出ることになるでしょう。

トランプ新政権としては、このようなディールをお膳立てすることで、一旦、ウクライナから手を退くことが出来、その後は親イスラエルの立場から中東に“適度に”介入しつつ、メインターゲットの中国との対峙にリソースを割くものと予想されます。

この通りに事が進めば、国際情勢にそれなりの変化がもたらされることになりますが、北朝鮮を噛ませたことで、どのように展開していくかは不透明です。

トランプ大統領は対北朝鮮情勢については、前政権時の“成果”を強調するために、ロシアおよび中国の思うようにはさせたくない半面、北朝鮮を黙らせておきたいという思惑もあるため、あまり北朝鮮を国際情勢において目立たせるようなことになると、想像できない結果を招く恐れも否定できません。

何しろ、前政権時に習近平国家主席を脅すために、マーラーゴでの歓迎晩餐会時に花火を見ながら、シリアの化学兵器保有の疑惑に対してトマホークミサイルを60数発ぶち込むようなパフォーマンスをする人ですので。

ロシアとの接近によって核兵器関連技術とノウハウを得、かつ北朝鮮にとって課題だったICBM完成のための大気圏突入技術とノウハウが供与された今、北朝鮮はアメリカ本土にまで届くミサイルを持つ核保有国になり、アメリカにとっては一応“国家安全保障上の脅威”にリストアップされる存在になったため、“じゃまをするなら潰す”というメンタリティーが、トランプ大統領に生まれても不思議ではない気がします。

それでもロシアは、あえて北朝鮮カードという不安定かつ危険なカードを用いることにした狙いは、やはりトランプ政権誕生時に、できるだけ有利な状況で停戦を成立させて、しばらくはロシアの行いに対する欧米諸国のちょっかいをやめさせることに賭けているからだと考えます。

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