的中しかねない「2025年は波乱の一年になる」という予測
イスラエルがガザに侵攻し、ヒズボラ掃討のためにレバノンにも攻撃を加え、そして今、シリアにも侵攻しようとしているのは、イスラエル人の心の奥底にこびりついて離れない“生存へのあくなき探求とそれを脅かすものへの著しい恐怖感”だと考えます。
ただイスラエルのというよりは、ネタニエフ首相の、向こう見ずな思い切った賭けは、確実に中東地域のデリケートな“安定”を崩し、静観を保つ予定だったサウジアラビア王国などのアラブ諸国の大半に行動を取らざるを得ない状況を作り出し、イランとレバノンには対イスラエル報復の熱量を上げさせることに繋がってきています。
今、表向きにはイスラエルとヒズボラ、そしてレバノンの停戦協定(60日間)はまだ継続中ですが、度重なる攻撃の応酬と、レバノン政府の面子を傷つけたとの認識が高まるにつれ、その効力は風前の灯火になっているように見えてきます。
アサド政権を崩壊させた反アサド・反体制派の面々が、今後シリアをどのような方向に導き、そしてイスラエルを含む周辺国とどう付き合っていくのかによっては、イスラエル・パレスチナ・レバノン・シリアを核とした大戦争が勃発し、それに隣国トルコも巻き込まれ、その火はアラブ全体に広がるのと同時に、イランの攻撃を誘発し、そしてロシアとウクライナの戦争にも飛び火したり、ロシアとトルコがそれなりにまだ関わるナゴルノカラバフ問題(アルメニアとアゼルバイジャン)の燻る炎を再度大きく燃やしたりすることになる危険性が一気に高まってきます。
シリアにおけるアサド政権の崩壊は、これまでギリギリのところで踏みとどまってきた世界的な戦争への門を開けてしまうきっかけになりそうな予感です。
いろいろな場で「2025年は波乱の一年になる」という予測を耳にするようになりましたが、本当にとんでもない状況が私たちを覆うことになるかもしれません。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年12月13日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)
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