生活保護の「不正受給」よりも「支給漏れ」に日本人が怒るべき理由
日本の場合、生活保護基準以下で暮らしている人たちのうちで、実際に生活保護を受けている人がどのくらいいるかという「生活保護捕捉率」は、だいたい20%程度とされています(「反貧困」湯浅誠著・岩波新書)。
つまり、本来は生活保護を受けるべき状況なのに受けていない人が、生活保護受給者の4倍もいるということ。
日本ではよく生活保護の不正受給が問題視されますが、実は「支給漏れ」のほうが不正受給よりもはるかに大きな問題だったのです。
これは先進諸国ではあり得ないことです。イギリス、フランス、ドイツなどの先進国では、要保護世帯の70~80%が生活保護を受けているとされています。
また日本の生活保護は、その予算自体も、先進国に比べれば圧倒的に少なくなっています。わが国の生活保護費は、社会保障費のうち10%にも満たないのです。GDP比ではわずか0.3%であり、あの自己責任の国アメリカの1割程度です。
また、生活保護受給者の数も圧倒的に少なくなっています。国民のわずか1%ちょっとであり、これもアメリカの1割程度です。
もちろんこれらの事実は、「日本は生活保護の必要が少ない豊かな国」ということを示しているわけではありません。
日本では、生活保護の必要がある人でも、なかなか生活保護を受けることができない。つまり「日本は生活保護を非常に受けにくい」ということを示しているのです。
欧米諸国は、国民の権利はきちんと守ります(少なくとも日本よりは)。生活保護の申請を、市役所の窓口でせき止めるなどということは、絶対にあり得ないのです。もしそんなことをすれば、国民から猛反発を受けるからです。
ここまでの話をまとめると、「外国籍の生活保護受給率が高い」のではなく「日本人の生活保護受給率が低い(低すぎる)」のが、わが国が抱える本当の問題ということになります。
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