極めて危険な兆候。ロシア国民「ウクライナを駆逐すべき」の過激な意見を“核使用OKの証拠”と捉えるプーチン界隈

 

ロシア国内で向上しているプーチン大統領の支持率

さて、中東情勢も不安定かつ先の見えない危険な状況ですが、ウクライナ情勢はどうでしょうか?

戦況を見ると、北朝鮮兵の参戦で現場での混乱はあるようですが、ロシア優勢の状況は変化なく、ウクライナ軍は苦戦を強いられているようです。サプライズで一度は陥落させたクルスク州もロシア側に奪還され、回りこまれてウクライナ東部の地域もロシアの支配地が広がっているようです。

NATO諸国から供与された長距離砲をロシア領内への攻撃に使ってはいますが、そろそろそれも在庫切れを迎え、待てど暮らせどストームシャドーも、ACTAMSも補給されない状況で、ロシアから逆に攻撃を受けている状況です。

また国産のドローン兵器も、思いのほか、性能は良いようなのですが、ロシア側に手口を読まれていて、報じられているほどの損害をロシアに与えていないと言われています。

さらには、ウクライナ軍からの脱走兵の数が、本格的な冬を前に急激に増加しているとの情報もあり、ウクライナにとっては、ロシアへの反攻上、あまり望ましくない状況が広がっています。

ゼレンスキー大統領は先日、トランプ次期大統領のパリ入りに合わせてパリに赴いていますが、目立った成果はなく、逆に「俺が就任したら、停戦だぞ」と釘をトランプ氏に刺され、追加支援についても「ロシアと戦うための支援は行わない。停戦の暁には、ウクライナの復興のための支援については考える」と返され、失望の面持ちで帰国したと言われています。

そのトランプ氏は、バイデン大統領への当てつけも大いにあるでしょうが、「私の就任まで数週間という時期に、ウクライナにロシアへの攻撃を認めるというのは正気の沙汰とは思えない。ロシアに攻撃を加えるのは大きな過ちだし、ましてやクルスク州への奇襲攻撃も、決して賢明とは言えないのに、アメリカがそれを黙認したのも信じがたい」と発言していますし、「ウクライナを見捨てるつもりはない。まずこの馬鹿げた戦争を終わらせることが先決だ。ロシアもウクライナに侵攻したのは大間違いだし、これまでの2年半強で多くの犠牲が双方に出ている状況はすぐにやめないといけない。私が仲介して停戦させる」と息巻いていますが、どの程度具体的な停戦のためのアイデアをお持ちなのかは、…不明です。

ではこのような状況と並行して、プーチン大統領とロシアはどうしているのでしょうか?

国内状況について触れると、驚くほど安泰で、このところプーチン大統領に対する支持率は向上しているようです。

その背景には「国民に対して追加の召集・動員は行わないの約束が守られていること」、「ロシア経済は、欧米諸国からの制裁にも拘らず、安定しており、国民生活に対する負の影響も出ておらず、ロシア国民は普段通りの毎日を送ることが出来ている」といったことに加え、「ロシア国民にとっては、ウクライナでの特別作戦なるものは、政権が行い、きちんと制御しているものであって、自分たちとは関係がない」と多くが感じていることがあるようです。

それに加え、ウクライナが夏にクルスク州に攻め込んだことや、欧米から供与された武器を使ったロシア領内に攻撃を加えていることなどを受け、ウクライナを駆逐すべきという過激な意見も高まっており、危険なことなのですが、プーチン大統領の周辺にいる超強硬派の幹部たちは「これはロシア国民がプーチン大統領に核兵器使用をOKした証拠」と主張を強めていることは無視できないことかと思います。

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