定年まで勤め上げる社員は用無しか。第一生命が1千人の希望退職募集で失う「ベテラン社員にしかない力」

 

ベテラン社員は「多様性」の中に入らないのか

隅野さんの視点はまさにその通りだと思います。私も散々「壁」の存在は書いてきました。さらには、医療技術の発展や食生活などの進化で、70歳、80歳になっても働ける肉体と精神を手にいれることも可能ですから、気力があるうちに自分らしいキャリア開拓に、1、2の3で飛び込んだ方がいい。もし、私が会社員だったらきっとそうするでしょうし、その方が気分が上がると思うのです。

しかし、多様性の中に定年まで勤め上げる社員は入らないのでしょうか?本来であれば会社発展にベテラン社員にしかない「力」が必要なのに、その目に見えない力を失うことで生じるマイナス点を、会社側は本当にわかってるのでしょうか?

そもそも長期雇用は制度でもなければ流儀でもない。「経営哲学」です。働く人たちが安全に暮らせるようにすることを企業の最大の目的と考えた経営者が、「人」の可能性を信じた。その形が長期雇用であり、福利厚生だったのではないでしょうか。

件の記事を読んだ直後は、まぁそのとおりだよね、と思ったのですが、こうやって言葉を紡いでいるうちに、「本当にそれでいいのかよ?チッ」と脳内の猿が舌打ちし、「3人に1人が65歳以上なのにね」とウサギが膨れっつらをするのです。

念の為断っておきますが、私は隅野社長を批判する気はありません。これまで多くの企業が大規模な希望退職を行なってきましたが、聞こえてくるのは「会社に依存する時代じゃない」「50歳以上は自立すべき」「人材の過剰在庫」といった失礼な言い訳ばかりでした。

そんな中できちんと会社側の意図を説明したのですから、企業側の責任をある意味において果たしたと思っています。

しかし一方で、やはり本当にそれでいいのか?という疑念が尽きません。おそらく今年は大規模は希望退職を実施する企業は増える。その先の光が私には見えません。もし、昨年取り上げた「アルムナイ採用を進める」というなら別。光は確実に灯ります。

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さて、みなさんはこの件、どう思いますか。

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