ミャンマー軍事政権と中国の結びつきが強くなれば、犯罪グループの拠点摘発が難しくなる恐れも
タイで行方不明になっていた30歳の中国人俳優が無事に保護されました。彼はミャンマーの詐欺グループに連れ去れて監禁され、特殊詐欺の訓練を受けていたということです。人権団体によると、20か国6000人以上が拘束されており、そのなかに、日本人が20人いるとしています。
在タイ日本国大使館領事部は「近年、SNS等で高額な報酬等の好条件を外国人に対して提示してタイへ渡航させた後、タイと国境を接するシャン州タチレク市やカレン州ミャワディ市において、違法に労働を強要させ、被害に遭う事案が発生しています」との注意喚起を出しています。
※編集部註:PDFが開きます
https://www.th.emb-japan.go.jp/files/100760907.pdf
2024年11月、中国の警察当局がミャンマーと協力し、詐欺に関与した容疑者5万3000人以上を拘束したと発表していますが、両者がタッグを組んだままでは、犯罪組織の摘発には限界が出てくると思います。
というのも、軍事政権は国民へ人権侵害をしているために、欧米からは経済制裁を受けており、日本からも経済的援助を受けられない状況です。中国がそうした軍事政権と手を組むということは、ミャンマーでの内戦状態を黙認することになります。
国際的犯罪グループの撲滅のためには、欧米や日本などの諸外国との連携が欠かせません。それがなされない状況では、正直、ミャンマー拠点の中国系犯罪組織の摘発は難しいといえます。
というのも、犯罪グループは暗号資産で犯罪収益を移動させており、一つの犯罪グループを摘発しても、どこかの国に資金が残っていれば、新たな拠点を築き、犯行を続けることが充分に考えられるからです。
今、軍事政権の支配地域は減っていると伝えられていますので、中国が黙認することで、より犯罪グループが武装勢力と結びつきが強くなることが考えられます。そうなれば、SNS上の高額報酬の仕事や、海外でのエキストラ募集などの嘘の募集を通じての連れ去りも多くなることがありえますので、充分に気をつけなければなりません。
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