小中高生の自殺者が過去最多に。子供たちを苦しめる日本社会の環境と変化

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1月29日、厚生労働省は小・中・高校生の自殺者が「527人」と過去最多になったと発表しました。大きな社会問題にも関わらずマスコミによる報道は少なく、この悲しい現実を知った人はほとんどいないのかもしれません。メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』の著者であるジャーナリストの宇田川敬介さんは、日本の若い世代が「自殺」という悲しい選択をしてしまった原因や、社会の変化について解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:小中高校生の自殺が過去最多となったマスコミが報じない社会の病巣

家庭から孤立してしまった子供たち。日本社会が与える影響とは

さて今回は、「小中高校生の自殺が過去最多となったマスコミが報じない社会の病巣」として、1月29日に厚生労働省が発表した去年の自殺者数(暫定値)は2万268人と統計開始以来2番目に少ない一方で、小・中・高校生は527人と過去最多になったというニュースを受けて、その原因を探ることと同時に、社会の変化と現在の「子供を取り巻く環境」を見てみたいと思います。

両親共働きの問題

まず、経済的な問題を見てみましょう。

子供たちが貧困を苦にして自殺をしているということを仮説的に考えています。この場合、例えば戦後の人々、今の団塊世代が子供の頃の方が経済的には間違いなく悪かったということになります。

実際に、その当時には(私は親などから聞いた話の記憶ですが)餓死する人もいましたでしょうし、また、食べたいものを食べることができなかった時代であったと言われています。

そのような時代であったし、技術的にもテレビも各海底にあったわけではありません。力道山などの資料報道でわかるように「街頭テレビ」などというものがあって、路上で多くの人が盛り上がっているというような状況であったと思います。

当然に、携帯電話などもありませんので、連絡を取るのも電話や電報をうまく使うということになります。そのような時代ですから、当然に経済的には、戦後から高度経済成長までの時の方が経済的には悪かったのです。

しかし、現代はその時代よりも子供の自殺者が多いということになります。

これは一つには「相対的な貧困」と「絶対的貧困」という二つの概念があるということになります。要するに、社会全体が見えていない子供にとっては、全体が、もっと言えば同級税が皆同じレベルの貧困であれば、何とか我慢できます。

自分だけが貧困であるというような「相対的な貧困」の場合に、我慢できずに「孤立化」してしまうということになって誰も助けてくれない中で絶望してしまうということになるのです。つまり、現代の方が経済的には裕福であるにもかかわらず「子供の孤立化」が多くなってしまうということが言えるのです。

では、何故子供が孤立化してしまうのでしょうか。

その要因の一つが「両親共働き」「少子化(一人っ子)」でしょう。昭和の当時は、基本的には共働きはなかったか、少なくとも学校の時間が終わるころにはお母さんは必ず家にいたのではないでしょうか。

現代でそのようなことを言えば、「経済的に困窮する」とか「ローンが払えない」などと言う人がいますが、「子供が自殺してしまう悲劇」に比べてみてどちらが良いのでしょうか。

もちろん「女性(母親)が家にいるべき」などと言えば、女性差別といきり立つ人がいるかもしれませんが、どちらであっても良いような気がします。

ただし「子供は親が育てる」ということが大原則であり、それは「金銭を与えている」とか「ネット環境を与えている」というような話ではなく、やはりしっかりと子供と親の会話がないとだめなのではないでしょうか。

もちろん、「学童」とか「塾」「友人」ということがあるかもしれませんが、そのような中に成績などの差があったり、または、経済的な差があったりというようなことで格差が出てしまうと、本来話相手のはずが、いつの間にか孤立化してしまう原因になるのではないでしょうか。

子供は大人のように見えても基本的にはまだ経験が足りませんから、常に守ってあげなければなりません。ここで間違えてしまうのが「甘やかす」のではなく「頼りたいときに頼らせてあげる」ということを間違わないようにしなければならないでしょう。

最近、30代の人々と話すことがありましたが、やはり大人になっても幼少期のトラウマ、特に親に甘えたくても甘えられなかったことなどが大きな心の傷になっている人が少なくないのです。

そのような人にならないように、しっかりと子供を「甘やかさずに、頼りになる存在」になってあげなければならないのではないでしょうか。

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