中居正広とフジテレビをめぐる一連の騒動で、米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが親会社のフジ・メディアHDに対し日枝久取締役相談役(87)の辞任を求めている。“約40年にわたりグループを支配してきた独裁者”が退場しないかぎり経営刷新はできないというのが理由だ。ただ“老害排除”だけでフジテレビが復活できるかどうかはわからない。精神科医で作家の和田秀樹氏によれば、テレビ局は「経営陣が高齢であるにも関わらず、高齢者に厳しい」という矛盾を抱えてきたからだ。(メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:フジテレビをどう立て直すか?
フジテレビ、中居正広、生島ヒロシに私が思うこと
中居某の引退やフジテレビ問題の陰に隠れたようになっているが、やはり私の知り合いの生島ヒロシさんがTBSラジオで26年以上続く自身の冠番組2本から突如降板し、芸能活動の無期限の休止を発表した。
何があったのかはわからないが、セクハラ、パワハラという話になっている。おそらく、TBSが、週刊誌か何かで報じられて、自分のところに火の粉が飛ばないうちに生島さんを切ったのだろう。
中居某ほどのことをやっていないようだが、TBSとフジテレビの対応はものすごく違う。中居某がトラブルを起こしたことを把握した後に、松本人志が芸能活動を休止したのに、『まつもとtoなかい』をやめずに『だれかtoなかい』という形で番組を続けたフジテレビと比べて、TBSは長寿番組をすんなり切ったのだ。
経営陣は高齢でも「高齢者には厳しい」テレビ局の矛盾とは?
私のひがみかもしれないが、テレビ局というのは、経営陣が高齢者なのに、高齢出演者には厳しい。
ただ、私の見るところ、今回の中居事件の背景は、若者偏重の文化の産物だろう。実際は、人口の3割が高齢者で、若い人がテレビを見なくなったのだから、テレビを見ている人の7割くらいが高齢者になっているのに、ラジオはともかくとして、テレビは相変わらず若者向けに作られている。
バラエティー番組でも、情報番組でも、ドラマでも、若者向けばかりで高齢者は無視され続けている。すると出演者も、あるいはアシスタントの女子アナも、みんな若い人ばかりになる。
そして、テレビのスタッフとタレントが懇親会を開き、大物タレントは貢物のように若い女性タレントや女子アナを食い物にするだけでなく、テレビ局の連中もおこぼれに与っているのだろう。
この文化はおそらくフジに限ったものでないはずだ。
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実際、テレビ局にはH目的で入る社員が多い。小学校から大学までつながっている学校を出た、スポンサーのお坊ちゃまのような人がコネで入るわけだが、テレビ番組を作りたいというより、それまでの延長で遊びたいという人が多いようだ。
こういう人は女を女と思っていないことも多い。いっぽうで、番組を作りたいと思って難しい試験に合格しようとする人がかえって落とされたりする。
テレビというのは、視聴率が多少悪くてもあまり責任を負わされない。高齢者が増えているから仕方ないということで通ってしまうようで、4%とか5%で合格点ということになっている。
本来なら、高い広告費を払うスポンサーが怒るはずなのだが、スポンサー企業の宣伝部も宣伝でものを売ろうという意識が乏しい。ほかの部署と違って、結果が悪くても責任を問われない上に、華やかなので、宣伝部は、創業者一族のボンボンやコネ入社の人がなることが多い。そして広告代理店の言いなりになって、視聴率の取れない若者向け番組に金を払い続ける。
フジテレビなど視聴率が落ちっぱなしなのに、これまでCMが取れていたし、ああいう文化が続いていたのだ。
この本質は、ワイドショーで語られることなく、フジテレビをたたき、ついでに週刊文春をたたくだけだ。
確かに、週刊文春はある種の誤報だが、A氏とされる人が、これまでもタレントと女子アナの懇親会を開き、女衒のようなことをしていたのは、どうも事実らしい。
週刊文春も叩かれたらそのあたりをついてくるだろう。テレビ局が考え方を変えない限り、このようなことは終わらない。