トランプ大統領が就任して間もない2月、音楽賞の最高峰である米グラミー賞授賞式で、レディー・ガガとブルーノ・マーズがデュエットでこの歌を熱唱した。
報道では、山火事で被災したロサンゼルスに敬意を表してと説明し、米国の記事でも「感情的に」歌ったと報じている。
米大統領選で女性の声を政治に生かしたいとの主張でハリス副大統領を支持しただけに、その感情は山火事への哀悼だけではない、と考えてしまう。
また、この曲は多くの人にカバーされ、そのアーティストによって曲の表情が変貌するから面白い。
ザ・ベンチャーズは得意のベンチャーズ・サウンドで表現した。アメリカは1979年にシングルでカバーしたバージョンは、ロック調に生まれ変わった。米国のサウンドとして馴染みのあるザ・ビーチ・ボーイズのカバーがオリジナルだと思っている方も多いかもしれない。
カーペンターズも独自のバージョンで歌った。どれもそれぞれの「夢のカリフォルニア」だ。
もちろん米国はロックだけではない。
ソウル・R&Bとしてボビー・ウーマック、フォー・トップスは1960年代にカバー曲を発表し、曲は新たなリズム感を得た。
プエルトリコ出身の全盲の歌手でスペインギターの名手、ホセ・フェリシアーノはボサノヴァ調で1968年のシングル「ハートに火をつけて」のB面に収録した。
リチャード・アンソニーはフランス語詞「La terre promise」として歌い、ジャズではギター奏法で革命を起こしたウェス・モンゴメリーがギターで明暗を表現した。
オリジナル発表時には米国がベトナム戦争に本格介入し、平和運動が盛んになる時期で、ママス&パパスも運動の象徴ともなった。
トランプ大統領の決断が世界に様々な影響を与える中で、この曲が再び注目される時、米国と世界はどんな風景なのだろうか。
※前回紹介した楽曲(要望により列記します)
スパンキー・アンド・アワ・ギャング(Spanky & Our Gang)「Sunday Will Never Be The Same」(邦題:想い出の日曜日)、「ウィザウト・ライム・オア・リーズン」(邦題:Without Rhyme Or Reason)。
フィフィス・デメンション(The Fifth Dimension)「アップ・アップ・アンド・アウエイ」(Up, Up and away)。
アソシエイション(Association)「Never My Love」(邦題:かなわぬ恋)。
ブレッド(Bread)「ディスマル・デイ」(Dismal Day)、「ロンドン・ブリッジ」(London Bridge)。
ハーパース・ビザール(Harpers Bizarre)「チャタヌーガ・チュー・チュー」(Chattanooga Choo Choo)。
オーリアンズ(Orleans)「ダンス・ウイズ・ミー」。
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