公開された「口論動画」を観て誰よりも喜んだプーチン
トランプ 「あなたが取引をするか、我々が手を引くか、この二択だ。我々が手を引けば、ウクライナは最後まで戦い抜かなければならなくなる。それでもいいのか?あなたが我々と取引をすれば、我々は停戦交渉を進めることができるが、そのためには妥協も必要だ。あなたは妥協して、我々の停戦交渉を受け入れなければならない」
ゼレンスキー 「安全保障のない停戦交渉は受け入れることなどできない。2014年、ロシアはウクライナの領土であるクリミア半島に武力侵攻して強制併合したが、プーチンはその時に締結された協定を破り、2022年、またウクライナに侵攻して来た。そして、今もウクライナの国民を殺し続けている。殺人者でテロリストであるプーチンには、安全保障のない停戦合意など通用しない。我々が望んでいるのは恒久平和だ。何よりも重要なのはロシアとの停戦合意後の平和維持であり、EUが進めている平和維持軍配置に関して、どうしてもアメリカの安全保障措置が必要なのだ」
トランプ 「あなたの態度からは、どの国よりもウクライナに多額の支援をして来たアメリカに対する感謝が感じられない。これは非常に無礼なことだ」
バンス 「そうだ!あなたは一度でも我が国の大統領に『ありがとう』と言ったことがあるのか!」
ゼレンスキー 「もちろん、私はこれまで何度も感謝の言葉を言って来た。ところでバンス副大統領、あなたは一度でもウクライナに行ったことがあるのか?我々が直面している問題を自分の目で見たことがあるのか?」
バンス 「ウクライナのことは実際に見た人たちから詳しく聞いている。あなたはホワイトハウスまで来て、ウクライナを救おうとしているアメリカに対してあれこれ注文をつけることが礼儀ある行動だと思っているのか?」
…というわけで、50分にわたった協議は決裂し、トランプ大統領はウクライナ側にホワイトハウスからの退出を命じました。ウクライナ側は抗議し、協議の継続を望む考えを示しましたが、予定されていた共同記者会見は中止になり、ウクライナ側はホワイトハウスを後にしました。
この様子を公開動画で観て、誰よりも喜んだのがロシアのプーチン大統領でした。プーチン大統領の広報紙と言われるロシア国営タス通信を筆頭に、ロシアのメディアの多くが「ゼレンスキーがホワイトハウスでヒステリー」などとボロクソに報じたのです。その一方で、ウクライナの国民はゼレンスキー大統領が自分たちの気持ちを代弁してくれたと大好評で、すべてのメディアが好意的に報じ「アメリカにレアアースを渡すな!」という世論が高まったのです。
さて、この日はもう1件、耳目を集める出来事がありました。記者会見の場で、1人の男性記者がゼレンスキー大統領に対してこんな質問をしたのです。
記者 「あなたは何故、スーツを着てないのか?この国の大統領の執務室にいるのに、どうしてスーツを着てないのか?もしかして、スーツを持ってないのか?」
そして、ニヤニヤとゼレンスキー大統領をあざ笑ったのです。これに対してゼレンスキー大統領は、落ち着いた様子でこう返しました。
ゼレンスキー 「この戦争が終われば私もスーツを着る。おそらくあなたと同等のものか、より上等なもの、あるいはより安いものかもしれないが」
ゼレンスキー大統領は、ロシアによる武力侵攻が始まって以来、公式の場では一貫して暗いカーキ色の軍服スタイルの服装を続けて来ました。この日はウクライナの国章が左胸にプリントされた黒い長袖シャツに黒いズボンという服装で、普段より多少は格式のある服装でしたが、スーツではありませんでした。
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