必死に中立をアピールしつつトランプを擁護した石破首相
もともとプーチン大統領と仲が良かったトランプ大統領は、1期目の後半になって新型コロナが世界的に流行した際、ウイルスの検査キットが手に入らずに困っていたプーチン大統領に、秘密裡に政府の検査キットを送っていたのです。そして大統領退任後も、少なくとも7回はプーチン大統領と個人的に電話しており、2024年の大統領選挙での水面下での協力も要請していました。そして大統領に返り咲いたのですから、プーチン大統領に利する行動に出るのは自明の理だったのです。
今回、ゼレンスキー大統領との協議が決裂したトランプ大統領は、「安全保障のない停戦交渉には応じられない」というゼレンスキー大統領の主張を「ゼレンスキーは和平を望んでいない」と捻じ曲げて批判しました。ネトウヨの伝統芸ですね。そして「ゼレンスキーに和平への準備ができるまで」、つまり「ゼレンスキー大統領が安全保障なき停戦交渉に応じるまで」という期限を設けて、ウクライナへのすべての武器供与の停止を命じました。ある意味、兵糧攻めですね。
…そんなわけで、すべてが予想通りに展開して行くトランプ大統領によるウクライナへの対応ですが、無理やりに良かった点を探し出すとすれば、今回のトランプ大統領の傍若無人な振る舞いによって、これまでバラバラだったEU各国が、イギリスやフランスを中心にまとまり始めたことです。もちろん、イタリアのように極右が政権を牛耳ってしまった国は足並みがそろいませんが、それでも3月2日にゼレンスキー大統領を迎えてロンドンで開かれた首脳会合では、EUを中心に15カ国の首脳が集まり、ウクライナへの軍事支援の強化やロシアへの経済制裁の継続などで一致しました。
それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…、日本の石破茂首相は3月3日の衆院予算委員会で、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の協議の決裂について問われると、こともあろうに、次のようにトランプ大統領を擁護したのです。
石破首相 「トランプ大統領にはトランプ大統領なりの思いがあって、アメリカがどこまで負担すべきなのか、アメリカの納税者たちのために、アメリカ大統領としてどうすべきなのかという考えはあったんだろうと思います。ウクライナの側から、本当にそれに相応しい思いが提供されていなかったという思いが、少なくともトランプ大統領にあったのだろうと思います」
そして、最後に必死に中立をアピールしつつ、何とか丸く収めました。
石破首相 「私どもとしましては、どっちの側に立つとか、そういうようなつもりは全くございませんが、とにかくG7が結束していくことが何より大事であるし、アメリカの関与なくして本当にこれ(戦争)は終わるのかということです。いかにしてアメリカの関与をつなぎ止めるか、そしてG7全体の結束をどう図るかということに、日本としてさらに尽力していきたいと思います」
ダメだこりゃ!
(『きっこのメルマガ』2025年3月5日号より一部抜粋・文中敬称略)
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