再び姿を現し始めた従来からの力による支配の構図
これは、マクロン大統領が率いるフランスも同様です(実は戦争とは直接関係がなく、話も少しずれますが、かつ軍事的な参加はしていない日本の支援額は、英仏の支援を大きく上回り、少し古いデータですが、全体の第4位のレベルに達しているようです)。
“外交的な解決”における存在感を示すために欧州各国は声を上げ、米ロ間で進められる一方的なディール・メイキングに強い懸念を示すものの、本当にそれがウクライナのためのことなのかと考えると、決してそうではなく、あくまでも自国ファーストの姿勢で、“ウクライナのために”行っている主張は、ことごとく自国の政治状況へのアピールに向いているという印象を私は強く抱きます。
ロシアとウクライナの戦闘において、ウクライナの戦況が誰の目から見ても不利になってきていることは、様々なデータや分析から明らかになってきていますが、だからといって、ウクライナはまだロシアに敗北はしておらず、政府・国家としての形態もまだ維持していますので、一方的な条件を飲まされるような状況には決してありません。
ただ、入ってくる情報を前に、今週ニューヨークで協議を続ける仲間たちと共に懸念しているのは、米ロの直接的な交渉の内容が、見方によってはウクライナをアメリカとロシアで分割するか、巧みに欧州も引きずり込んでNATOとロシアで分割するかというようなものになってきているような感じがすることで、巷で耳にするStand withそしてby Ukraineは、実は耳障りのいい虚構に過ぎず、実際には従来からの力による支配の構図がじわりじわりと姿を見せてきているように思います。
ただ私がここで示した見解もどこまで適切かはわかりません。
今週、ニューヨークに来て様々な機会において目にしているものは、安全保障理事会における米英仏vs中ロという従来のspritではなく、米ロ中vs英仏の構図で、それはウクライナに関する決議案の採択でも、ガザ問題を扱う内容においても、顕著になってきている“これまで見ることが無かった状況の存在”で、それは「アメリカはあれこれ口を出すわりに大したことをしない欧州を見捨てて、世界秩序の再構築のために中ロと組んで、さっさと世界を作り替えようとしているのではないか」という疑念がいろいろなところで生じるきっかけになっているように見えます。
そのような状況に危機感を隠せない欧州各国、特に英仏はニューヨークでもいろいろな働きかけを行っていますが、昨日話したフランスの代表によると「ここ国連内、ニューヨークにおける外交の最先端の舞台でも驚くほど、ウクライナの惨状に対する関心が低くなっており、何らかの対策を急ぎ施さなくてはならないというアピールに対して、一応の理解は示す様子を見せるものの、だからといってコミットメントを共に行うという意思を表明する国はなかった」と落胆しているようですし、国連はやる気を示してみるものの、すでに国連の主張に対して米ロは相手にしておらず、従来からのトランプ大統領の国連軽視・無視の姿勢と相まって、こちらもまた、国連が戦後復興には欠かせない枠組みであるにも関わらず、実際には“国際安全保障の確立”の舞台では、完全に蚊帳の外に置かれている感が否めません。
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