「部下がChatGPTで報告書を作成してきますが、内容がありきたりで本人の意見が出てきません」。そんな今時のお悩みが、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーに勤めていた赤羽雄二さんのもとに届きました。赤羽さんは自身のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』の中で、「ChatGPTを報告書等で使えるようにするのは新卒で入社3年以上にした方がいいのでは」と提案をしています。
部下がChatGPTで報告書を作成してくるのですが、内容がありきたりで、すぐバレます。
Question
外資系の経営コンサルティング会社でマネージャーをやっています。チームに3人部下がいるのですが、2年目のアソシエートがChatGPTを使って報告書を作成しています。自分で書いてそれから仕上げに使えと言っているのですが、ChatGPTが手軽過ぎて言うことを聞きません。でも、内容がありきたりですぐばれます。本人の意見が出てこないので、問題です。一度私が確認不足のとき、クライアントからも「これからはコンサルタントもあまりいらないですね」と嫌味を言われました。こういう勘違いをした部下にどう指導していけばいいでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。これからこういう問題がどんどん増えますね。
コンサルティング会社は、経験の浅いコンサルタントの問題把握・解決力、言語化能力を鍛えるためにChatGPTの使用を制限する必要があります。
自分の頭で考え、クライアントとの切った貼ったの議論も臆せずできるようになるまでは、ChatGPTに答えを求めるべきではありません。
マラソンに出る選手が、楽だから、手軽だからと言って、毎日10~20km走る代わりに自転車やローラースケートに乗っていたら練習にならないですよね。持久力も筋力もつきません。
問題把握・解決力も言語化能力も同じです。
問題は、そういう指示を上司がしているのに、その部下の方はそれを無視し、クライアントの信用も失っている、ということです。
会社の方針を改めて確認し、もし不十分なところがあったら明確に規定して、その上で本人に警告を出します。
この問題はその部下だけでは多分ないです。新卒なら、入社3年くらいは徹底的に鍛えないと使い物になりませんので、会社として方針を立てる必要があります。そうしないと、
「ChatGPTを使わせないうるさい上司」ということになり、効果がない上、言うだけ損ですね。
競合他社が同じような方針を出さないとすると、当面は学生の人気が出ますが、3、4年後には大変なことになります。
正しいことを徹底してやっていきましょう。
一方、問題把握・解決力、言語化能力を鍛えた4年以上のシニアコンサルタントはChatGPTを徹底的に使いこなすべきで、自分の力を何倍にもすることができます。
こちらは会社でも「生成AIベストプラクティス共有会」を最低月1回、できれば隔週で開催して、成功事例、ノウハウをどんどん共有していきます。
「できれば隔週」というのは、通常のベストプラクティス共有会と違って、月1回だとスピードが追いつかないためです。
先輩が楽しそうにかつ徹底的に使いこなしているのを横目に見ながら、入社3年までは徹底的に頭の筋力トレーニングをする感じですね。
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