トランプと世界は最悪の事態をどう防ぐのか
ただの妄想や噂のレベルと批判されるかもしれませんが、シャラア氏による暫定政権が落ち着くのを妨害するために、各地に残存していた親アサド派を支援し、地方での蜂起を手助けしてシリア国内情勢をさらにややこしくしようとしているという情報も寄せられています(真偽のほどはわかりません)。
その裏で虎視眈々とシリアを急襲する(吸収する)機会を伺い、トランプ大統領自身がシリア情勢に全くと言っていいほど関心がなく、かつ自分の意のままに動くと思われるイスラエルとネタニエフ首相の下に置いたほうが良いと考えていると言われていることも加味して、イスラエルに対しての脅威を一気に取り除く絶好の機会と考えているように見えます。
今、イスラエルはパレスチナ(ガザとヨルダン川西岸地区)、レバノン、そしてシリアを3方向に同時に戦端を開き、一気に支配しようとして動いているように見えます。
これらは、領土的な欲とも見えますが、恐らく“戦争をしている限りは支持を得ることができ、かつ自分の政権の存在理由が確固たるものになる”というネタニエフ首相の政治的な思惑と野心が大いに働いていると思われます。
これを止めることができるのは唯一トランプ大統領だけのはずですが、そのトランプ大統領は、公約としての“停戦”の実現にしか関心がなく、大嫌いなバイデンが出来なかったウクライナとガザの停戦を自らが成し遂げたと言いたいがために、プーチン大統領やネタニエフ首相の横暴を見なかったことにし、「責めない代わりに私に停戦という成果をよこせ」というディールを作ろうとしているため、個人的には全く期待ができないと考えています。
このまま欧州各国が出来もしない口先だけの約束をし、ウクライナを見捨て、ロシアにすり寄るようなことが起これば、確実にウクライナは存在を失うことになるでしょうし、その大きな譲歩と妥協は決してロシアの野心を止めることはなく、近い将来にバルト三国やポーランド、モルドバなどにプーチン大統領の魔の手が差し伸べられ、欧州各国はより直接的にロシアの脅威に晒されることになります。
そのような緊張感あふれる状況において、もしフィンランドやスウェーデンが、何らかの折に偶発的な衝突をロシアとの間で起こしたりしたら、両国はNATO加盟国でもありますので、ロシアの攻撃が欧州全域に及ぶという悪夢の可能性も否定できなくなります。
同様のことが中東で起きた場合、「イスラエルの暴走を止めるのはイスラエルとの戦争しかない」とアラブ諸国が一致団結して立ち上がるようなことになれば、終わりなき激しい戦争が中東全域を包み、その戦火は地中海を越えて南欧や北アフリカ、東アフリカなどに広がり、そこにトルコが巻き込まれることで、複数の戦争の火が繋がり、一気に戦火が広がることにもなりかねません。
トランプ大統領と世界はどうやってそのような最悪の事態を防ぐのでしょうか?
トランプ大統領と政権が混沌とし、緊張高まる世界の救世主(Saver)となれるか、それとも混沌とした世界に止めを刺す破壊者(Destroyer)になるか?
その結論は、そう遠くないうちに、私たちに見えてくるものと思われます。
以上、今週の国際情勢の裏側のコラムでした。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2025年4月11日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ
image by: The White House - Home | Facebook









