大谷、由伸、朗希まで獲得。なぜ金満球団ドジャースと「トランプ2.0」がメジャーリーグの魅力を低下させるのか?

 

MLBを揺るがすドジャースの「資金力野球」とトランプ2.0

アメリカのスポーツリーグにおける「戦力の均衡」が崩れ始めている。その象徴が、ロサンゼルス・ドジャースのような「金満球団」の圧倒的な戦力だ。特にメジャーリーグベースボール(MLB)にはサラリーキャップ制度が存在せず、資金力の差がそのままチーム力に直結する構造となっている。この状況は、競争の公平性を損ない、リーグ全体の魅力を低下させる可能性をはらんでいる。

こうした中、2025年に発足した第2次トランプ政権による規制緩和の動きが、この“格差拡大”をさらに加速させる可能性もある。政権は、金融分野ではバーゼルIIIの最終化規制や暗号資産に対する規制の緩和が進められており、この「市場原理重視」の姿勢は、スポーツビジネスにも波及しかねない。

実際、ドジャースはその豊富な資金力を背景に、大谷翔平や山本由伸、さらには佐々木朗希といった選手を次々と獲得。他球団とは一線を画す巨額の年俸総額で、戦力の格差を広げている。これは、MLBが長年にわたって維持してきた「勢力均衡」のモデルを根本から揺るがすものだ。

米スポーツリーグはこれまで、収益分配制度やドラフト制度を通じて「誰もが勝てる可能性のあるリーグ」を目指してきた。だが、トランプ政権下で進む富裕層・大企業優遇の政策は、こうした均衡のメカニズムと、トランプ第2次政権の思想とは相いれないのだ。

ドジャースの資金力(2025年)

  • 総支出:調整後の総支出は約5億ドル(約548億円)で、選手給与、福利厚生、ラグジュアリー税を含む
  • 年俸総額:3億3,052万ドル(約331億円)で、MLB全体で最高額
  • ラグジュアリー税:1億4,960万ドル(約150億円)を支払い、税負担額もリーグ最高
  • ドジャースの収益源
    リーグ最高の観客動員数と8.35億ドルの長期テレビ契約が主な収益源
    大谷翔平の契約(10年7億ドル)の効果で広告収入やスポンサーシップが増加

他球団との比較

  • ニューヨーク・メッツ
    年俸総額は3億2,198万ドル(約322億円)でドジャースに次ぐ2位
    メッツも高額契約を多数抱え、競争力のある資金力を持つ
  • ィラデルフィア・フィリーズ
    年俸総額は2億8,323万ドル(約283億円)で3位
  • ニューヨーク・ヤンキース
    年俸総額は2億8,922万ドル(約289億円)で4位。伝統的に高い資金力を維持

ドジャースのMLBチーム平均との比較

  • MLB全体の平均年俸総額は1億6,962万ドル(約170億円)。ドジャースはこのほぼ2倍を支出している

特徴的なポイント

  • 選手獲得戦略:ドジャースは大谷翔平や山本由伸などのスター選手獲得に巨額を投じており、他球団と比較しても積極的な補強姿勢が目立つ。
    財政的優位性: ドジャースは観客動員数やメディア収益において他球団を圧倒しており、財政基盤が非常に安定している
  • 競争バランスへの影響:MLB内では「ドジャースが財政面で他球団を圧倒している」と批判的な声もある一方、「リーグ全体の収益向上に貢献している」と評価する意見もある

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