大谷、由伸、朗希まで獲得。なぜ金満球団ドジャースと「トランプ2.0」がメジャーリーグの魅力を低下させるのか?

 

魚雷バットの衝撃。「新型兵器」は打撃革命を起こすか

一方、最近、メジャーリーグでは「魚雷バット(トルピード・バット)」が注目を集めている。このバットは従来のものと異なり、スイートスポット(最も効果的にボールを打てる部分)が拡大されており、打者がより確実にボールを捉えることができる設計となっている(*4)。

「魚雷バット」を開発したのはアーロン・リーンハート氏で、昨年までニューヨーク・ヤンキースのアナリストを務めていたが、今季からはマイアミ・マーリンズに移籍し、「フィールド・コーディネーター」という肩書で活動している(*5)。

新型バットを巡っては、アメリカ国内でも賛否が分かれている。しかし、野球はもともと打撃戦を中心に発展してきたスポーツでもある。その象徴的な例が「ルーズベルトゲーム」という言葉だ。これは、フランクリン・ルーズベルト米大統領が「最も面白い野球の試合は8対7だ」と語ったという俗説に由来している(*6)。

このスコアが象徴するのは、接戦でありながら点の取り合いが続く試合展開だ。逆転や再逆転が繰り返されるシーソーゲームは、観客に緊張感と興奮を与え、最後まで勝敗が読めないため、エンターテインメント性が非常に高い。日米ともに「投高打低」の傾向が続くなか、魚雷バットは、そんな流れに一石を投じる存在になるかもしれない。

魚雷バット(トルピードバット)

  • 特徴的な形状
    芯の部分が太く、先端に向かって細くなる形状
    ボウリングのピンや魚雷に似たデザイン
    従来のバットとは異なり、スイートスポット(最も打球が飛びやすい部分)に質量を集中させている
  • 開発背景
    開発者:ヤンキースの分析官アーロン・リーンハートが選手の打撃データを基に設計
    目的:打球速度と飛距離を向上させるため、スイートスポットでの打撃効率を最大化する設計
  • 利点
    打球が「飛ぶ」感覚があり、ホームランや長打を量産できる可能性が高い
    ヘッドが軽く、振り抜きやすい設計
    詰まり気味の打撃にも対応しやすい
  • 使用状況
    MLBではヤンキースをはじめとする複数の選手が使用し、開幕戦で大量本塁打を記録
    日本プロ野球でも試験的に使用され始め、日本ハムなどで注目されている
  • 規則と普及
    MLBでは規定内で合法とされており、長さや太さは許容範囲内
    日本プロ野球(NPB)では2025年4月11日から使用解禁
  • 課題
    従来のバットと比べて形状が特殊なため、選手によっては慣れが必要
    一部では「道具頼み」の傾向を懸念する声もある

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引用・参考文献

(*1)「【野球】ルーズヴェルトゲームとはどういう意味?8対7のスコアで決着する試合のことです」野球をもっと知るブログ 2025年2月23日

(*2)「NFL経営の特徴とは?成功に導く戦略・戦術について解説!」HALF TIME 2021年2月6日

(*3)鈴木透『スポーツ国家アメリカ──民主主義と巨大ビジネスのはざまで』中公新書 2018年

(*4)「Why the New ‘Torpedo Bat’ Is Hitting It out of the Park」Scientific American 2025年4月2日

(*5)「Brains behind Yankees’ controversial torpedo bats reveals “eureka moment” for his revolutionary creation」sportskeeda 2025年4月2日

(*6)「【野球】ルーズヴェルトゲームとはどういう意味?8対7のスコアで決着する試合のことです」野球をもっと知るブログ 2025年2月23日

(『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』2025年4月13日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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